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緑の社会主義


2021年8月〜          


資本主義は、人と地球を金もうけの資源とする。2020年から続くコロナ危機もまたこの資本主義の野放図な地球改変の結果である。ここから教訓を引き出すことができるのか。それが問われている。コロナ危機は、ものごとの本質を否応なく表に出す。
それに対して、人を人として敬い、この地を生きる場として尊ぶ世を生みだしてゆかねば、地球に明日はない。
日本について言えば、コロナ渦は、戦後日本と明治維新以来の近代日本の、本質的な総括を迫っている。そのためには、日本語に深く立ちかえり、歴史に向きあいこれを越えねばならない。
2021年秋、岸田首相は就任するや、すぐに「新自由主義からの転換」と「新しい資本主義」を主張した。そして自分自身を本部長とする「新しい資本主義実現本部」を政府に設置した。だが、政策の転換の具体的な中身は何もない。
資本主義は拡大しなければ存続しえない。新自由主義は資本主義が極限まで拡大したものであり、その次の資本主義はありえない。ところが岸田は「成長と分配の好循環」の資本主義に転換するなどとごまかす。
資本主義の次とは何なのか。それは社会主義である。かつての社会主義は、経済がまだ拡大する余地があるときに、その拡大を資本の儲けよりも労働者の生活を第一にすることを主張した。これを赤い社会主義という。それに対して、経済拡大の余地のない段階で目指すべきは、自然世界と共存しうる世のあり方であり、これを緑の社会主義という。
緑の社会主義を掲げて世を動かす。歴史はそれを求めている。
この論考は、『神道新論』を土台にし、『誰もが数学を体系的に学べる場の試み』(数学文化、038号)をふまえ、そのうえで、この二著をさらに統合し、近代日本の経験を人類の歴史的な教訓に深め、つぎの段階を拓く。

次の四つの柱よりなる。

地球は有限、資本主義は終焉する
近代日本は根なし草の規範なき世
赤い社会主義から緑の社会主義へ
新しい人のつながりが生みだす世