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まつる

まつる [maturu]

◯身を清め、酒食を供え、神の来臨を待ち、幸いを願う。

◆神仏・祖霊等に奉仕して慰撫・鎮魂したり感謝・祈願するための儀式。神をまつり、神の言葉(みこと 御言)をきき、それをおこなうことかが、政治であるとされた所から、「まつりごと」に「政」をあて、政治の意味へと展開した。

※タミル語<mat-u(動詞)、mat-ai(名詞)>由来。

※「まつ(待つ)」と「まつる」は、平安時代の『名義抄』ではアクセントが違う。しかし、この時代には別の言葉とされ、アクセントで区別していたとしても、同根でないとは言えず、タミル語が熟成する過程で、「まつ」と根が同じとされた時間があったのではないか。

▼神にものを供え、願いがかなうように祈る。神に歌や踊りを奉納し、慰める。 ◇『万葉集』三二二七「夢に見せこそ 剣刀(つるぎたち)斎(いは)い祭れる 神にし坐(ま)せば」 ◇『古事記』中・歌謡「少名御神の<略>麻都理(マツリ)来(こ)し御酒ぞ」 ◇『万葉集』一三七七「木綿(ゆふ)懸けて祭(まつる)三諸の神さびて」

▼尊敬する人にさし上げる。「奉」をあてる。 ◇『万葉集』三八八〇「高杯(たかつき)に盛り 机に立てて 母に祭りや 愛づ児の刀自 父に祭りや 愛づ児の刀自」

▼記念・祝賀・宣伝などのために行う集団的行事。 ◇「港まつり」 ◇「大東京まつり」

【まつり】 ◇『万葉集』一七五一「名に負へる杜に 風祭せな」

【まつりごと】 ◇『綾部本初期古訓』「徳(いきほい)を布(し)き恵みを施して、政令(まつりごと)流(し)き行はる」 ◇『宇津保物語』国譲下「左大臣のおとど世中をまつりごち」