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より〔辞〕

より〔辞〕[yori]

◯はじまるところを示す。

◆体言または体言に準ずる連用形を受け、そこからはじまることを示す。

▼動作・作用の起点を示す。ものとしての時間的・空間的起点を示す場合と、こととしての起点、原因などを示す。

▽時間。はじまるとき。 ◇『古事記』下・歌謡「明日用理(ヨリ)はみ山隠りて見えずかもあらむ」 ◇『万葉集』八九四「神代より 言ひ伝って来らく」

▽動作の行われる場所・経由地を示す。 ◇『万葉集』四〇六一「堀江欲里(ヨリ)水脈(みを)引きしつつ御船さす」

▽動作や作用の手段・方法を示す。 ◇『万葉集』三三一四「山城道を他夫(ひとづま)の馬従(より)ゆくに己夫(おのづま)し歩(かち)従(より)ゆけば」

▽原因、理由を示す。 ◇『万葉集』八七一「領布(ひれ)振りしより負へる山の名」

▽比較の基準を示す。 ◇『万葉集』三七三七「ひと余里(ヨリ)は妹そも悪しき」

▽事柄や範囲を限定する意を示す。下に打消・反語表現を伴って用いる。 ◇『古今集』二〇五「ひぐらしの鳴く山里の夕暮は風よりほかに問ふ人もなし」 ◇『古今集』六七〇「枕より又しる人もなき恋を」