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おどろく

おどろく(驚く)[odoroku]

◯おどろ[odoro]は、「おどろおどろしい」の「おどろ」と同根で、ものの有様に気づいたときの心の動きを表す。

◆はっと気がつく。にわかに気がつく。意外なことに気づいて心が動く。

※タミル語<un-ar>由来。眠りから覚める。意識が戻る。分離する。

▼尋常でないことや夢に、はっとして目が覚める。 ◇『万葉集』七四一「夢(いめ)の逢(あひ)は苦しかりけり覚(おどろき)てかき探れども手にも触れねば」 ◇『源氏物語』須磨「君もいささか寝入りたまへれば、そのさまとも見えぬ人来て、『など、宮より召しあるには参りたまはぬ』とて、たどり歩くと見るに、おどろきて」

▼先触れによって今まで意識しなかったことを意識する。はっと気がつく。 ◇『古今集』一六九「あききぬとめにはさやかに見えねども風のおとにぞおどろかれぬる」 ◇『源氏物語』橋姫「思ひがけぬほどなれば、おどろかざりける心おそさよ、と心もまどひて恥ぢおはさうず」

▼意外なことにあって、心が動く。心の平静を失う。びっくりする。 ◇『日本書紀』「其の美人(をとめ)の富登(ほと)を突きき。爾に其の美人驚きて、立ち走りいすすきき」 ◇『源氏物語』桐壺「相人おどろきてあまたたびかたぶきあやしぶ」 ◇『源氏物語』若菜下「今宵うけたまはる物の音などもの、みな等しく耳おどろきはべるは」