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あや

あや(文・紋・綾・絢)[aya]

◆縦糸、横糸の折り筋の変化によって、斜めに線の模様を織りだした絹の布地。また、一般にものの面に現われたさまざまな筋や線のつくる形や模様。さらにまたものの固い筋目をも意味し、何かのことの筋目も意味する。『名義抄』には「理 あや」とある。

▼縦糸に横糸を斜めにかけて模様を織りだした絹の布地。 ◇『万葉集』一八〇七「錦綾の 中につつめる 斎児も 妹に如かめや」 ◇『蜻蛉日記』下「匂ふばかりの桜襲の綾、文はこぼれぬばかりして」

▼ものの面に現れた形や模様。 ◇『後撰集』二「水の面にあや吹き乱る春風や池の氷をけふはとくらむ」 ◇『土左日記』「さざれ波よするあやをば」

▼物事の筋目。条理。理由。 ◇『平中物語』二七「などて寝られざらむ。もし、あややある」

▽美しい色どりや文章、言葉のいいまわし。 ◇「ことばのあや」 ◇『十善法語』五「あやあることば、正しからぬことばを綺語と名づく」

▽音楽のふしまわし。 ◇『俳諧・鷹筑波』二「声のあやあくめもなひぞねり雲雀」

▽木や草のかたい筋。葉脈や木目。 ◇『妙法蓮華経玄賛平安中期点』六「薪を折るに、其の木の理(アヤ)に随ふときには」



2014-10-08