2016年入試問題研究に戻る京大特色入試総人理系2番
問1 関数 $ f(x) $ は微分可能なので,連続である. 区間 $ [0,\ x] $ で平均値の定理を用いると \[ \dfrac{f(x)-f(0)}{x}=f'(c) \] となる $ c $ が $ (0,\ x) $ に存在する. $ f''(x)< 0 $ より $ f'(0) > f'(c) $ である. よって \[ \dfrac{f(x)-f(0)}{x}=f'(c)< f'(0) \] から,不等式 \[ f(x)< f'(0)x+f(0) \] が成り立つ. $ f'(0)< 0 $ なので, \[ \lim_{x \to \infty}f(x)=-\infty \] である. $ f'(x)< 0 $ より $ f(x) $ は単調減少で, $ f(0) > 0 $ であるから, この結果, $ f(a)=0 $ を満たす正の数 $ a $ がただ1つ存在する.
問2 曲線 $ y=f(x) $ の点 $ (t,\ f(t))\ (0\leqq t \leqq a) $ における曲線の接線の方程式は, \[ y=f'(t)(x-t)+f(t) \] である. $ x $ 軸, $ y $ 軸との交点はそれぞれ, \[ \left(-\dfrac{f(t)}{f'(t)}+t,\ 0 \right),\ \left(0,\ -tf'(t)+f(t) \right) \] であるから, \[ S(t)=\dfrac{1}{2}\left\{-\dfrac{f(t)}{f'(t)}+t \right\}\left\{ -tf'(t)+f(t)\right\} =\dfrac{\{f(t)-tf'(t)\}^2}{-2f'(t)} \] である.よって, \[ S'(t)=\dfrac{1}{2}\cdot \dfrac{\{f(t)-tf'(t)\}\{tf'(t)+f(t)\}f''(t)}{{f'(t)}^2} \] 区間 $ (0,\ a) $ で $ f(t) > 0 $ で, $ f'(t)< 0,\ f''(t)< 0 $ より, $ \{f(t)-tf'(t)\}f''(t)< 0 $ である. \[ g(t)=tf'(t)+f(t) \] とおく. \[ g'(t)=2f'(t)+tf''(t)< 0 \] であり, \[ g(0)=f(0) > 0,\ g(a)=af'(a)< 0 \] であるから, $ g(t) $ は区間 $ (0,\ a) $ で正から負に変わり, $ g(t)=0 $ となる $ t $ がこの区間にただ1つ存在する. よって, $ S'(t) $ は区間 $ (0,\ a) $ で負から正に変わり, $ S'(t)=0 $ となる $ t $ がこの区間にただ1つ存在する. つまり, $ S(t) $ の最小値を与える点が区間 $ (0,\ a) $ 内にただ1つ存在する.