2017年入試問題研究に戻る

東工大4番解答

(1)  $ A_n $ の要素の個数は, $ n $ 個並んでいる文字を, $ a,\ b,\ c $ のどれにするかの場合だけあり, $ 3^n $ 個である. そのうち,文字cが連続して現れない並べ方の総数を $ a_n $ とする.
文字cが連続して現れない $ n+2 $ 個の文字列を,最初の文字で場合分けする. それが $ a $ か $ b $ なら,2番目からの $ n+1 $ 個は,そのなかで $ c $ が連続しなければよい. それが $ c $ ならその次は $ a $ か $ b $ で, 3番目からの $ n $ 個は,そのなかで $ c $ が連続しなければよい. よって, \[ a_{n+2}=2a_{n+1}+2a_n \] が成り立つ. $ n=1 $ のときは, $ a,\ b,\ c $ なので $ a_1=3 $ , $ n=2 $ のときは, $ cc $ 以外なので $ a_2=3^2-1=8 $ である.
ここで,漸化式を \[ a_{n+2}-(\alpha+\beta)a_{n+1}+\alpha\beta a_n=0 \] と変形する. $ \alpha+\beta=2 $ , $ \alpha\beta=-2 $ なので, \[ \alpha=1-\sqrt{3},\ \beta=1+\sqrt{3} \] である.このとき漸化式は \[ a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_n) \] と変形されるので, \[ a_{n+1}-\alpha a_n=\beta^{n-1}(a_2-\alpha a_1) \] ここで, \[ a_2-\alpha a_1=5+3\sqrt{3}=\left(1+\sqrt{3}\right)\left(2+\sqrt{3}\right) =\dfrac{\left(1+\sqrt{3}\right)^3}{2} \] なので, \[ a_{n+1}-\alpha a_n=\dfrac{\beta^{n+2}}{2} \] 同様に \[ a_{n+1}-\beta a_n=\dfrac{\alpha^{n+2}}{2} \] なので,この2式を辺々引いて, \[ (\beta-\alpha) a_n=\dfrac{\beta^{n+2}}{2}-\dfrac{\alpha^{n+2}}{2} \] $ \beta-\alpha=2\sqrt{3} $ より \[ a_n=\dfrac{1}{4\sqrt{3}}\left(\beta^{n+2}-\alpha^{n+2}\right) \] よって, \[ P(n) =\dfrac{a_n}{3^n} =\dfrac{1}{4\sqrt{3}\cdot3^n}\left(\beta^{n+2}-\alpha^{n+2}\right) \] ここで, $ \alpha $ と $ \beta $ は上記のものである.

(2)  条件 $ (*) $ を満たし,その7番目の文字は $ c $ であるので, 6番目と8番目は $ a $ か $ b $ であり,このとき, 1〜5番と9〜 $ n $ 番はそのなかで $ c $ が連続しなければよい. その文字列の総数は $ 4\cdot a_5\cdot a_{n-8} $ である.
この条件の下でさらに,10番目の文字が $ c $ であるのは, 9番目と11番目は $ a $ か $ b $ であり,このとき, 1〜5番と12〜 $ n $ 番はそのなかで $ c $ が連続しなければよい. その文字列の総数は $ 4^2\cdot a_5\cdot a_{n-11} $ である. 総数はいずれも $ 3^n $ なので, \begin{eqnarray*} Q(n)&=&\dfrac{4^2\cdot a_5\cdot a_{n-11}}{4\cdot a_5\cdot a_{n-8}}\\ &=&\dfrac{4\cdot a_{n-11}}{a_{n-8}} =4\cdot\dfrac{\beta^{n-9}-\alpha^{n-9}}{\beta^{n-6}-\alpha^{n-6}}\\ &=&4\cdot\dfrac{1-(\alpha/\beta)^{n-9}}{\beta^3-\alpha^3(\alpha/\beta)^{n-9}} \end{eqnarray*} $ |\alpha/\beta|< 1 $ より \[ \lim_{n \to \infty}Q(n)= \dfrac{4}{\beta^3}=\dfrac{2}{5+3\sqrt{3}}=3\sqrt{3}-5 \]

問題