2018年入試問題研究に戻る

東工大1番解答

(1)  方程式@が実数解を持たないとき,その解は互いに共役である. それを$\alpha$,$\overline{\alpha}$ とする.解と係数の関係より \[ \alpha\overline{\alpha}=|\alpha|^2=1 \] となり,@の2解は原点を中心とする半径1の円周上,実軸に関して対称の位置にある. 同様に,Aの2解を $\beta$,$\overline{\beta}$ とすると, $|\beta|^2=2$となり,2解は原点を中心とする半径$\sqrt{2}$の円周上に,実軸に関して対称の位置にある.


$\alpha$ と $\beta$ の実数部分が等しいとき,つまり \[ \dfrac{\alpha+\overline{\alpha}}{2}= \dfrac{\beta+\overline{\beta}}{2} \] のとき,4解は同一直線上にある.
$\alpha+\overline{\alpha}=-a$, $\beta+\overline{\beta}=-b$ なので,この条件は$a=b$である.
$a\ne b$ のとき,同一直線上にない.このときは,対称性から4つの解が作る四辺形は等脚台形である. 向かい合う内角の和が $\pi$ となるので,4つの解はすべて同一円周上にある.
その中心は実数で,これを $x$ とすると, \[ |\alpha-x|^2=|\beta-x|^2 \] より, \[ (\alpha-x)(\overline{\alpha}-x)=(\beta-x)(\overline{\beta}-x) \] これから \[ \alpha\overline{\alpha}-(\alpha+\overline{\alpha})x= \beta\overline{\beta}-(\beta+\overline{\beta})x \] つまり, \[ 1+ax=2+bx \] $a-b\ne 0$ なので, \[ x=\dfrac{1}{a-b} \] である.また半径を $r$ とすると, \begin{eqnarray*} r^2&=&\left|\alpha-x\right|^2=\alpha\overline{\alpha}-(\alpha+\overline{\alpha})x+x^2\\ &=&1-\dfrac{-a}{a-b}+\dfrac{1}{(a-b)^2}=\dfrac{2a^2-3ab+b^2+1}{(a-b)^2} \end{eqnarray*} よって, \[ r=\dfrac{\sqrt{2a^2-3ab+b^2+1}}{|a-b|} \] となる.

(2)  3つの方程式@,A,Bがいずれも実数解を持たない条件は, それらの判別式が負なので, \[ a^2-4< 0,\ b^2-8< 0,\ c^2-12< 0 \] つまり \[ |a|< 2,\ |b|< 2\sqrt{2},\ |c|< 2\sqrt{3} \] である.かつ,それらの解がいずれの組も同一直線上にない条件は, \[ a\ne b,\ b\ne c,\ c\ne a \] である.このとき,すべて同一円周上にあるための条件は,中心が一致するときときである. A,Bの4解のある円の中心を $y$ とすると,同様に考え, \[ 2+by=3+cy \] がなり立ち,これより,$y=\dfrac{1}{b-c}$ なので,中心が一致する条件は \[ \dfrac{1}{a-b}=\dfrac{1}{b-c} \] より $a-b=b-c$.つまり \[ a+c=2b \] である.
条件 $2b=a+c$ のもとで,$b=a$ または $b=c$ なら $c=a$ となるので,対偶をとり, $c\ne a$ かつ $2b=a+c$ なら, $b\ne a$ と $b\ne c$ はなり立つ.
また $|a|<2$,$|c|<2\sqrt{3}$ なら \[ |b|=\left|\dfrac{a+c}{2}\right|\leqq \dfrac{|a|+|c|}{2}< \dfrac{2+2\sqrt{3}}{2}=1+\sqrt{3} \] で, \[ 1+\sqrt{3}< 2.8< 2\sqrt{2} \] なので, $|b|<2\sqrt{2}$ はなりたつ. よって, \[ a\ne c,\ |a|< 2,\ |c|< 2\sqrt{3},\ 2b=a+c \] であれば,すべての条件がなりたつ. 逆にこのいずれもが必要なので,これが求める必要十分条件である.

問題