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理系4番解答

(1)  \begin{eqnarray*} n{}_{2n}\mathrm{C}_n&=&n\dfrac{(2n)!}{n!n!}=\dfrac{(2n)!}{n!(n-1)!}\\ (n+1){}_{2n}\mathrm{C}_{n-1}&=&(n+1)\dfrac{(2n)!}{(n+1)!(n-1)!}=\dfrac{(2n)!}{n!(n-1)!} \end{eqnarray*} より, $ n{}_{2n}\mathrm{C}_n=(n+1){}_{2n} \mathrm{C}_{n-1} $ が示された.
これから, $ n{}_{2n}\mathrm{C}_n $ が $ n+1 $ の倍数であるが, $ n $ と $ n+1 $ は互いに素なので, $ {}_{2n} \mathrm{C}_n $ が $ n+1 $ の倍数である.

※ 意味から示してもよい.
$ n{}_{2n}\mathrm{C}_n={}_{2n}\mathrm{C}_n{}_n \mathrm{C}_1 $ は $ 2n $ 人から $ n $ 人の委員を選び, その $ n $ 人から1人の委員長を選ぶ.
$ (n+1){}_{2n}\mathrm{C}_{n-1}={}_{2n}\mathrm{C}_{n-1}{}_{n+1} \mathrm{C}_1 $ は $ 2n $ 人から $ n-1 $ 人の委員を選び,残る $ n+1 $ 人から委員長を選んで加える.
いずれも $ n $ 人の委員とそのなかの委員長1人を決める場合の数であるから,等しい.

(2)  \begin{eqnarray*} a_{n+1}&=&\dfrac{{}_{2n+2} \mathrm{C}_{n+1}}{n+2}=\dfrac{(2n+2)(2n+1)}{(n+2)(n+1)(n+1)}\cdot\dfrac{(2n)!}{n!n!}\\ &=&\dfrac{(2n+2)(2n+1)}{(n+2)(n+1)(n+1)}\cdot{}_{2n} \mathrm{C}_n =\dfrac{4n+2}{n+2}a_n \end{eqnarray*} である.
$ n\geqq 4 $ ならば $ a_n>n+2 $ であることを数学的帰納法で示す.
$ n=4 $ のとき. \[ a_4=\dfrac{{}_8 \mathrm{C}_4}{5}=\dfrac{8\cdot 7 \cdot 6\cdot 5}{5\cdot4\cdot 3 \cdot 2\cdot 1 }=14>4+2 \] で成立.
$ n=k $ のとき $ a_k>k+2 $ とする. $ k\geqq4 $ とする. \begin{eqnarray*} a_{k+1}-(k+1+2)&=&\dfrac{2(2k+1)}{k+2}a_k-(k+3)\\ &>&\dfrac{4k+2}{k+2}(k+2)-(k+3) =3k-1\geqq 12-1 >0 \end{eqnarray*} より成立する.
よって $ n\geqq 4 $ のとき $ a_n >n+2 $ が示された.

(3)  $ a_{n+1}=\dfrac{4n+2}{n+2}a_n $ が整数で,かつ $ a_n>n+2 $ , $ 4n+2 >n+2 $ であるから, $ a_{n+1} $ は $ n+2=pq $ となる, $ 4n+2 $ の約数 $ p $ と $ a_n $ の約数 $ q $ を用いて, $ a_{n+1}=\dfrac{4n+2}{p}\cdot \dfrac{a_n}{q} $ と因数分解される.
よって, $ n\geqq 4 $ のとき $ a_{n+1} $ は素数ではない. \begin{eqnarray*} a_1&=&\dfrac{{}_2 \mathrm{C}_1}{1+1}=1\\ a_2&=&\dfrac{{}_4 \mathrm{C}_2}{2+1}=\dfrac{6}{3}=2\\ a_3&=&\dfrac{{}_6 \mathrm{C}_3}{3+1}=\dfrac{20}{4}=5\\ a_4&=&\dfrac{{}_8 \mathrm{C}_4}{4+1}=\dfrac{70}{5}=14 \end{eqnarray*} である.よって, $ a_n $ が素数となる正の整数 $ n $ は2と3である.

※  $ a_n=\dfrac{{}_{2n} \mathrm{C}_n}{n+1} $ を「カタラン数」という. これについては 青空学園数学科の『数学対話』「カタラン数」 を参照のこと.

問題