next up previous 次: 指数 上: 原始根と指数 前: 原始根と指数

原始根

5で割った余りから0を除いた

\begin{displaymath}
1,\ 2,\ 3,\ 4
\end{displaymath}

のうち,2と3は特別である.なぜか.

\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
2^1=2\\
2^2=4\equiv 4\quad (\bmod.\ ...
...\bmod.\ 5)\\
3^4=81\equiv 1\quad (\bmod.\ 5)
\end{array}
\end{displaymath}

と順にべきを取っていくと$1,\ 2,\ 3,\ 4$をすべて作る. 1と4はそうではない.

2と3を「5を法とする原始根」という.

剰余系の原始根

13を法とする剰余系から0を除いた各剰余を横に並べる. それぞれのべきを縦方向に順次書いてみる. 1が出ればそこからは同じことがくり返される.それは省略している.


\begin{displaymath}
\begin{array}{c\vert rrrrrrrrrrrr}
剰余a&1&2&3&4&5&6&7...
...&11&2&&&&6&\\
a^{12}&1&1&1&1&1&1&1&1&1&1&1&1
\end{array}
\end{displaymath}

フェルマの定理によれば $p$ が素数で, $a$$p$ で割り切れないとき,

\begin{displaymath}
a^{p-1}\equiv 1\quad (\bmod.\ p)
\end{displaymath}

である.したがって $a^{12}$ の段に1が並ぶのは当然であるが, 2,6,7,11 は12乗してはじめて1と合同であり, しかも途中の $1,\ a,\ a^2,\ \cdots,\ a^{11}$ が 13を法とする既約剰余系の代表の組となっている. そこで $a$$p-1$ 乗してはじめて1と合同になるとき, $a$$p$ を法としての原始根という. 略して $p$ の原始根ともいう.

さて「原始根」という呼び名はすでに「1の$n$乗根」で出ている. 複素数全体の中で $n$ 乗してはじめて1になるものを「1の原始( $n$ 乗)根」と 呼んだ. 今は $p$ を法とする剰余の集合

\begin{displaymath}
K=\{0,\ 1,\ 2,\ \cdots ,\ p-1\}
\end{displaymath}

のなかで, $p-1$ 乗してはじめて1と合同になるものを考えている. この場合,$p$ を法とする剰余系の代表として数$a$$e$乗して1と合同になるなら,$e$$p-1$ の約数である. はじめて1と合同になるとき $e$$a$ の( $p$ を法とする)指数というのであった. 指数が $p-1$ となる場合にそれを原始根というのである.

上の集合 $K$$p$ 個の元からなる有限集合であるが, 和・差・積・商が定まる有限体である. また $K$ から0を除いた集合 $K^{\times}$ は乗法に関して群であり, 要素の個数は$p-1$個である.

次の定理が示すように,一般に素数$p$に対して原始根が存在し, その原始根の順次のべきから$K^{\times}$ のすべての元が得られる. つまり,原始根はこの「群を生成する」元である.

定理 28
     素数 $p$ を法として原始根が存在する. $r$ をその一つとすれば,

\begin{displaymath}
1,\ r,\ r^2,\ \cdots,\ r^{p-2}
\end{displaymath}

は既約剰余系の一組である.■

証明     $a$$p$ を法とする既約剰余系の一つの代表である数とする.言いかえれば $a\not \equiv 0\quad (\bmod.\ p)$ をとる. $a$ の指数を $m$ とする. $a^m\equiv 1\quad (\bmod.\ p)$ なので

\begin{displaymath}
a^0=1,\ a^1,\ \cdots,\ a^{m-1}
\end{displaymath} (2.32)

はいずれも
\begin{displaymath}
x^m\equiv 1\quad (\bmod.\ p)
\end{displaymath} (2.33)

の解である.これらは互いに同じ剰余系に属さない. なぜなら, $1\le i \le m-1$ に対して

\begin{displaymath}
a^i\equiv a^j\quad (\bmod.\ p)\quad
\iff\quad a^{i-j}\equiv 1\quad (\bmod.\ p)
\end{displaymath}

である.定理 24 から $i-j$$m$ の倍数である. $-m+2\le i-j \le m-2$なので これは $i=j$ のときのみである. 定理14から(2.32)が(2.33)の解のすべてである.

さて $m=p-1$ なら $a$ 自身が原始根である. $m<p-1$ のとき. $a$ をもとに $m$ より大きい指数の数を構成できることを示す.

$p$ を法とする既約剰余系は $p-1$ 個あるので, この場合(2.32)のいずれとも異なる剰余系がある. そのような剰余系に属する数 $b$ をとる. $b$ の指数を $n$ とする. このとき $n$$m$ の約数でない.もし約数なら $b^m\equiv 1\quad (\bmod.\ p)$ となる. したがって $b$ も合同方程式(2.33)の解となり $b$ に関する仮定に反する. そこで
(1)    $(m,\ n)=1$ のとき. $ab$ の指数は $mn$ である.

なぜなら,まず $(ab)^{mn}=a^{mn}b^{mn}\equiv 1\quad (\bmod.\ p)$ であるが, 逆に $(ab)^x\equiv 1\quad (\bmod.\ p)$ とする. このとき

\begin{displaymath}
(ab)^{mx}\equiv b^{mx}\equiv 1\quad (\bmod.\ p)
\end{displaymath}

定理 24 から $mx$$n$ の倍数であるが$(m,\ n)=1$ から $x$$n$ の倍数である.

同様に $x$$m$ の倍数でもあり, 定理 2 から$x$$m$$n$ の最小公倍数の倍数である.$(m,\ n)=1$ から最小公倍数は $mn$ . ゆえに $ab$ の指数は $mn$ である. $mn>m$ より $p$ を法として $m$ より大きい指数の数が構成できた.
(2)    $(m,\ n)=d>1$ のとき. $m$$n$ の最小公倍数を $l$ とする. 練習問題6の(6)のように $l=m_0n_0,\ (m_0,\ n_0)=1$$m_0$$m$ の約数, $n_0$$n$ の約数となるものをとる. このとき $a^{ \frac{m}{m_0}},\ b^{ \frac{n}{n_0}}$ はそれぞれ指数が $m_0,\ n_0$である.$(m_0,\ n_0)=1$より $a^{\frac{m}{m_0}}b^{\frac{n}{n_0}}$ の指数は$m_0n_0=l$$n$$m$ の約数ではないので$l>m$ .やはり $p$ を法として $m$ より大きい指数の数が構成できた.


真に増加する指数の列ができ,しかも $p-1$ を越えないので有限回の操作で必ず指数 $p-1$ の数が構成できる.つまり原始根 $r$ は必ず存在する. すでに見たように(2.32)は互いに合同でない.したがって

\begin{displaymath}
1,\ r,\ r^2,\ \cdots,\ r^{p-2}
\end{displaymath}

も互いに合同でない.つまりこれらは $p-1$ 個の既約剰余系の一組の代表である.□

既約剰余系でみれば$(k,\ p-1)=1$であることが $r^k$ が原始根 であるための必要十分条件である.したがって原始根は$\varphi(p-1)$個ある.

例 2.5.1        $\varphi(13-1)=4$なので四つある.実際 $2,\ 6,\ 7,\ 11$

next up previous 次: 指数 上: 原始根と指数 前: 原始根と指数
Aozora Gakuen