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以上の議論は整式の場合にもそのままあてはまる.
実数係数の整式の集合を変数を明示してと表そう.
また係数を有理数にかぎるときはと表す.
以下のことは
で考えても,で考えても,
また複素数で考えとしても同じことである.
そこでを有理数の集合,
実数の集合,複素数の集合のいずれかを表すものとし,
これからはに係数をもつ整式の集合を考えることにしよう.
の整式は,つぎの除法の基本性質をもつ.
ここでは整式 の次数を表す.
定理 15
整式
がある.
となる整式
がただ1組存在する.
証明
とする.
条件を満たすとの存在をについての数学的帰納法で示す.
なら
で成立.からで成立とする.
と の 次の項をそれぞれ とする.
と定めれば,
である.
帰納法の仮定から,
となる
が存在する.
となるので,
,
とおけば定理の等式を満たす.
これが1組しかないことを示す.2組あったとする.
すると,
となる.
もし
なら
である.
ところが一方,
だから,
.これは矛盾.
ゆえに.この結果
となる.
(証明終わり)
Aozora
2015-03-02