方程式は(5)で考える.
はに分解されるわけだが,
これらの作用に関する係数
耕介 そうか. の任意の要素で考えるよりも, の要素でどのようになるかを確認した方が簡明です.
の場合.を に置きかえ, をかければよい.
したがって対応する次の行列は
南海 これに対応する微分作用素も決めておこう. のときの微分作用素の決め方と同様に考えればよい.
上の
の変換で
もとのに代入するのは
耕介
ということは,で微分して0となることが,
と同値であるような,微分作用素は
南海
そう.そしてこれを対称に入れ替えてが作られる.
次に単項式
耕介
であることが不変であることを意味するのは,
2次の場合と同じです.
微分作用素のどの項も,
単項式の操作としてはをに置きかえるので,
は2増えます.
そこで,
個の変数の整式の集合
南海 ここで証明は出来ないが,次の2つが成り立つ.
耕介 すると,の作用に関する方程式の不変式は, やはりの核になります. 2次の場合と同様にしていけば, それぞれの次数に関する方程式の不変式が得られるのですか.
南海 2の場合は比較的簡単であったが,次数が増えると急速に複雑になる. 3次4次の場合の結果のみ記しておこう.
4次の場合は判別式よりも低い次数で不変式が見つかる.
2次の単項式でとなるもの,
つまりの基底は
3次の単項式でとなるもの,
つまりの基底は
この2つが2次と3次の不変式で,これらで生成されたものが,
4次方程式の不変式である.ちなみに判別式は
耕介 このようにして順にやっていくのは大変ではありませんか.
南海 そうだ. 次数が大きくなると,不変式は多くなり複雑になっていく.
2変数次の整式に対し,
耕介 の作用での不変式ですね.
南海 そうだ.後に抽象代数学の旗手となった女性数学者の エミー・ネーター(Amalie Emmy Noether 1882〜1935)は, この2変数で4次の場合に不変式を調べ, 331個の不変式を書きだし,それらによってすべての不変式が書き表せる ことを証明し,ゴルダンのもとで1907年に学位論文としている.
耕介 すごいですね. でもきりがありませんね.
南海 不変式論は,このように具体的に構成する段階の中から, 新しい考え方をきりひらいていった. そのことが大切なので,次に新しい発展について, 話そう.