ここで二つの多角形を見てほしい.
結論からいうと図1は凸でない5角形だ.それに対して図2は凸な多角形だ.この違いを どのように定義するのか.
拓也 図を見せてもらったので気づきましたが,凸な方は内部の任意の2点を 結ぶ線分がまた内部にあるが,凸でないと,線分が外に飛び出すことがある.
南海 その通り.ここに「凸」をはっきりさせるカギがある.
以下で「多角形」とは,内部と周からなる 平面上の点の集合のこととする.
平面上の 角形
が「凸多角形」であるとは,この多角形の
任意の2点を結ぶ線分がつねにこの多角形に含まれることをいう.
もちろん,この定義は凸多角形だけではなく,一般に「凸領域」の定義に拡張されるが, 今はそこまではいいだろう.
この概念をつかうと次の事実が成り立つ.
証明
必要条件を数学的帰納法で証明する.
まず, 角形
が凸多角形なら
角形
も凸多角形である.なぜなら点
と
を
角形
の点とすると,
角形
が凸多角形なので,線分
は
角形
に含まれる.ところが
も
も直線
に関して同じ側にあるので,線分
も
直線
に関して同じ側にあり,したがって線分
は
角形
に含まれるからである.
ここで,実数
を
十分条件であることを示す.
角形
の2点
,
と
実数
に対して
拓也 なるほど.これで気づいたのですが,三角形はつねに「凸」なのですね.
南海 そうなのだ.4角形からはつねに凸というわけではない.