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場合分け

なぜ場合分けが必要か

「場合に分ける」ということは,数学のあらゆるところで出てくる. 「場合分け」というのはもっとも基本的な数学の方法だ. 場合分けは大きくいって二つある.
第一,
考えている対象を式に書きあらわしたり, 計算しようとすると, 定数の範囲などの条件によって式 や計算法を変えなければならないとき. 条件を場合に分け, 一つ一つが実際に数えたり計算できるように問題を細分する, これが場合に分ける,ということである.
第二,
$A$ という集合の個数 $n(A)$ を数えるのに, $A$ をいくつかの互いに共通部分のない集合に 分割することで数えるとき. つまり集合$A$の要素の個数を$n(A)$で表すと

\begin{displaymath}
A=A_1\cup A_2 \cup \cdots \cup A_l \quad ,\
異なるiとjに対して,A_i\cap A_j=\emptyset
\end{displaymath}

のとき

\begin{displaymath}
n(A)=n(A_1)+n(A_2)+\cdots +n(A_l)
\end{displaymath}

となる. このように$n(A)$を細分して求めるために場合に分けるのである.
いずれにおいても,大切なことは
  1. 適切な場合分けか.もっといいわけ方はないのか.
  2. 場合分けに抜け落ちがないか,必ず確認する.
  3. 場合分けに重なりがないか,必ず確認する.

    第二の場合は特に場合分けに共通部分がないかを確認することが大切である. 確率の場合は事象が排反であるかどうかの問題である. もし共通部分があれば,二つに分けた場合でいえば

    \begin{displaymath}
n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)
\end{displaymath}

    によって二重に数えた部分を引かなければならない.
  4. 場合に分けて考えたことを最後に総合しているか.


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