京大文理共通第3問解説 問題 2000年入試に戻る


 この問題は (1) と (2) の関連ををどのように考えるかである.
 (2) を(1) と独立して解くことも可能である.

 しかしよく考えれば, (1) は,3つの角が1つの頂点をなす3つのベクトルが互いになす角でさえあれば,不等式 (*) が成り立つということを意味している.

 逆に不等式 (*) が成り立つような角に対して題意をみたすベクトルがとれることはまだ明らかではない,

このことを示せば,3つの角が1つの頂点をなす3つの角であることと,不等式 (*) が成り立つことは同値である.

 よって不等式 (*) の十分性を示した上で, (2) は3つの角が1つの頂点をなす3つの角であるための必要十分条件によって求めればよい.これが出題者の意図であると思われる.

 三角形の成立条件と類似の関係が,求める条件である.この関係(頂角となるための条件)が論証上必要なものが,京大の過去の問題で何回か出題されている.

 ところで (1) の不等式は,より一般的にかつても出題されている.紹介しよう.
 

この問題で にしたものが今回の問題だ.91年の問題は意外に難しい.次に解答も掲げておくので,ぜひじっくり解いてみてほしい.

解説追加  2000.10.29
 [91年京大後期理系]の別解1のように,三つの角が空間の頂点をなす条件((2)の解答にある)を(1)の段階から用いて,(1)の不等式を示してしまうこともできる.
 (1)も(2)も,3つの角が空間の頂点をなすための必要十分条件を求めるのだから,道筋はいろいろ立てられる.

 「頂角の成立条件」の証明は上の京大91年の解答と別解1を組み合わせることでできる.それについては「空間の3つの角が頂角をなす条件」参照.