2017年入試問題研究に戻る名大理系4番解答
(1) $ z \in M $ なら $ \dfrac{1}{z}\in M $ なので,その積 $ z\cdot\dfrac{1}{z}=1 \in M $ .これから $ -1\in M $ である.
(2) $ M $ の要素 $ z $ と $ -z $ を組にする.この組の個数を $ l $ とする. 条件(II)から $ 0\not \in M $ なので, $ z\ne -z $ である.したがって, $ n=2l $ となり, $ n $ は偶数である.
別解 \[ M=\{z_1,\ z_2,\ \cdots,\ z_n\} \] とする.(1)より $ -1 $ は $ M $ の要素である. よって, $ k=1,\ 2,\ \cdots,\ n $ に対して, $ -z_k $ はすべて異なり, かつ $ -z_k\in M $ であるから,それらの積は, $ z_k $ の積と一致する. つまり \[ (-z_1)\cdots(-z_n)=z_1z_2\cdots z_n \] これより $ (-1)^n=1 $ となり, $ n $ は偶数である.
(3) $ 1,\ -1 \in M $ である.この2要素以外の要素 $ \alpha $ をとる. このとき $ -\alpha,\ \dfrac{1}{\alpha}\in M $ で, $ -\alpha,\ \dfrac{1}{\alpha}\ne 1,\ -1,\ \alpha $ である. 従って $ -\alpha=\dfrac{1}{\alpha} $ でなければならず, $ \alpha^2=-1 $ である.よって, \[ M=\{1,\ -1,\ i,\ -i\} \] ただし, $ i $ は虚数単位である.
(4) \[ M=\{z_1,\ z_2,\ z_3,\ z_4,\ z_5,\ z_6\} \] とする. $ M $ の任意の要素 $ w $ をとる. $ k=1,\ 2,\ \cdots,\ 6 $ に対して $ wz_k $ はすべて異なり, かつ, $ wz_k\in M $ であるから,それらの積は, $ z_k $ の積と一致する. \[ w^6z_1z_2\cdots z_6=z_1z_2\cdots z_6 \] ここで $ z_1z_2\cdots z_6\ne 0 $ より, $ w^6=1 $ である. つまり $ n=6 $ のとき, $ M $ の要素はすべて1の6乗根である. 相異なる1の6乗根はちょうど6個なので, $ M $ はこれら6個の要素より成る. 1の6乗根の符号逆の数,逆数,6乗根の積はすべて1の6乗根なので条件を満たす. \[ z^6-1=(z-1)(z+1)(z^2-z+1)(z^2+z+1) \] なので, \[ M=\left\{1,\ -1,\ \dfrac{1+\sqrt{3}i}{2},\ \dfrac{1-\sqrt{3}i}{2},\ \dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2},\ \dfrac{-1-\sqrt{3}i}{2} \right\} \] である.