2017年入試問題研究に戻る滋賀医4番解答
(1) 3回投げて1の目が2回続くのは $ (1,\ 1,\ △) $ , $ (△,\ 1,\ 1) $ のいずれか.ただし,△は1以外の目を表す. 1の目が3回続くのは $ (1,\ 1,\ 1) $ のみ.よって \[ P(3,\ 2)=\dfrac{5+5+1}{6^3}=\dfrac{11}{216} \] 4回投げて同じ目が3回続くのは $ (◯,\ ◯,\ ◯,\ △) $ , $ (△,\ ◯,\ ◯,\ ◯) $ のいずれか.ただし,△は◯以外の目を表す. 同じ目が4回続くのは $ (◯,\ ◯,\ ◯,\ ◯) $ のみ.よって \[ Q(3,\ 2)=\dfrac{6\cdot 5+6\cdot 5+6}{6^4}=\dfrac{11}{216} \]
(2) $ n $ 回投げて1が1回以上続いて出る事象は, 1が1回も出ない事象の余事象である. よって, \[ P(n,\ 1)=1-\left(\dfrac{5}{6}\right)^n \]
(3) $ n $ 回投げて1が2回以上続いて出る事象は, $ n $ 回投げて1が続いては出ない事象の余事象である.
$ n+2 $ 回投げて1が続いては出ない事象は,次の排反事象の和である.
よって, \[ 1-P(n+2,\ 2)= \dfrac{5}{6}\left\{1-P(n+1,\ 2) \right\}+\dfrac{5}{6^2}\left\{1-P(n,\ 2) \right\} \] これから, \[ P(n+2,\ 2)= \dfrac{5}{6}P(n+1,\ 2)+\dfrac{5}{36}P(n,\ 2)+\dfrac{1}{36} \] である.(i) 1回目が1以外で,2回目以降の $ n+1 $ 回で1が続いては出ない事象.
(ii) 1回目が1で,2回目はそれ以外が出,そして3回目以降の $ n $ 回で1が続いては出ない事象.
(4) さいころを $ n $ 回投げるとき,1の目が続けて $ m $ 回以上出る事象を, $ n $ 項よりなる出た目の数列の集合で表し,その集合を $ A $ とする. \[ A=\{(a_1,\ a_2,\ \cdots,\ a_n)\ |\ 1が続けてm回以上並ぶ\} \] さいころを $ n+1 $ 回投げるとき,同じ目が続けて $ m+1 $ 回以上出る事象を, $ n+1 $ 項よりなる出た目の数列の集合で表し,その集合を $ B $ とする. \[ B=\{(b_1,\ b_2,\ \cdots,\ b_{n+1})\ |\ 同じ数が続けてm+1回以上並ぶ\} \] 事象 $ B $ はさらに,その初項が $ p\ (1\leqq p \leqq 6) $ である要素の部分集合を $ B_p $ として, \[ B=B_1 \cup B_2\cup \cdots \cup B_6 \] と,6個の部分事象に分けることが出来る.
$ A $ の要素と $ B_p $ の要素の間に一対一の対応があることを示す.
$ A $ の要素に対し $ B_p $ の要素を次のように構成する.
逆に, $ B_p $ の要素に対し $ A $ の要素を次のように構成する.i) $ A $ の要素 $ (a_1,\ a_2,\ \cdots,\ a_n) $ をとる. $ c_k=a_k-1 $ とする.
ii) $ (c_1,\ c_2,\ \cdots,\ c_n) $ は0の目が続けて $ m $ 回以上出る0から5よりなる数列である.
iii) 数列 $ (d_1,\ d_2,\ \cdots,\ d_{n+1}) $ を $ d_1=p,\ d_{j+1}-d_j=c_j\ (j=1,\ 2,\ \cdots,\ n) $ で定める.これは同じ数字が $ m+1 $ 以上続いて並んでいる.ただし7以上の数を含んでいるかも知れない.
iv) $ b_j\ (1\leqq j \leqq n+1) $ を $ 1\leqq b_j \leqq 6 $ で $ b_j\equiv d_j (\bmod \ 6) $ であるようにとる.このとき, $ (b_1,\ b_2,\ \cdots,\ b_{n+1})\in B_p $ である.
i) $ B_p $ の要素 $ (b_1,\ b_2,\ \cdots,\ b_{n+1}) $ をとる. $ e_j=b_{j+1}-b_j\ (j=1,\ 2,\ \cdots,\ n) $ で定める.ただし,負の数を含んでいるかも知れない.
ii) $ f_j\ (1\leqq j \leqq n) $ を $ 0\leqq b_j \leqq 5 $ で $ f_j\equiv e_j (\bmod \ 6) $ であるようにとる. $ (f_1,\ f_2,\ \cdots,\ f_n) $ は 0の目が続けて $ m $ 回以上出る0から5よりなる数列である.
iii) 数列 $ (a_1,\ a_2,\ \cdots,\ a_n) $ を $ a_j=f_j+1\ (j=1,\ 2,\ \cdots,\ n) $ で定める.このとき, $ (a_1,\ a_2,\ \cdots,\ a_n)\in A $ である.この対応は互いに逆であり,一対一対応である. よって, $ n(A) $ などで集合の要素の個数を表すと, \[ n(A)=n(B_p) \] である.この結果 \[ 6n(A)=n(B) \] である. \[ P(n,\ m)=\dfrac{n(A)}{6^n}, Q(n,\ m)=\dfrac{n(B)}{6^{n+1}} \] であるから, \[ P(n,\ m)=Q(n,\ m) \] である.