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東北大後期理系4番解答

(1) 時刻 $ n $ においてMが頂点Aにある確率を $ p_n $ , 時刻 $ n $ においてMが頂点B,D,Eのいずれかにある確率を $ q_n $ , 時刻 $ n $ においてMが頂点C,F,Hのいずれかにある確率を $ r_n $ , 時刻 $ n $ においてMが頂点Gにある確率を $ s_n $ とおく. このとき,試行の条件から次の漸化式が成り立つ. \[ \left\{ \begin{array}{l} p_{n+1}=\dfrac{1}{3}q_n\\ q_{n+1}=p_n+\dfrac{2}{3}r_n\\ r_{n+1}=\dfrac{2}{3}q_n+s_n\\ s_{n+1}=\dfrac{1}{3}r_n \end{array} \right. \] そして \[ p_0=1,\ q_0=r_0=s_0=0 \] である. $ p_n+q_n+r_n+s_n=1 $ で, $ n $ が偶数ならMは頂点Aか頂点C,F,Hのいずれかにあり, $ q_n=s_n=0 $ であるから, $ p_n+r_n=1 $ となる.また, $ n $ が奇数ならMは頂点B,D,Eか頂点Cのいずれかにあり, $ p_n=r_n=0 $ であるから, $ q_n+s_n=1 $ となる. そこで, $ n $ が偶数のとき, \begin{eqnarray*} p_{n+2}&=&\dfrac{1}{3}q_{n+1} =\dfrac{1}{3}p_n+\dfrac{2}{9}r_n\\ &=&\dfrac{1}{3}p_n+\dfrac{2}{9}(1-p_n) =\dfrac{2}{9}+\dfrac{1}{9}p_n \end{eqnarray*} したがって \[ p_{n+2}-\dfrac{1}{4}=\dfrac{1}{9}\left(p_n-\dfrac{1}{4} \right) \] より \[ p_n-\dfrac{1}{4}=\left(\dfrac{1}{9}\right)^{\frac{n}{2}}\left(p_0-\dfrac{1}{4} \right) \] よって, \[ p_n =\dfrac{1}{4}+\dfrac{3}{4}\left(\dfrac{1}{9}\right)^{\frac{n}{2}} =\dfrac{1}{4}+\dfrac{3}{4}\left(\dfrac{1}{3}\right)^n =\dfrac{1}{4}\left\{1+\left(\dfrac{1}{3}\right)^{n-1} \right\} \] これから $ p_4=\dfrac{7}{27} $ なので 時刻4,5においてMが頂点Aの上にある確率はそれぞれ \[ \dfrac{7}{27},\ 0 \] である.

(2) (1)の計算から,時刻 $ n $ においてMが頂点Aの上にある確率は \[ \left\{ \begin{array}{ll} 0&(n:奇数)\\ \dfrac{1}{4}\left\{1+\left(\dfrac{1}{3}\right)^{n-1} \right\} &(n:偶数) \end{array} \right. \] である.

(3)  時刻8までにMが立方体のすべての頂点を通るのは, Mが各頂点を1回づつ通るときにかぎる. $ U=\{$B,D,E$\} $ , $ V=\{$C,F,H$\} $ とすると,

A$\to$U$\to$V$\to$U$\to$V$\to$G$\to$V$\to$U$\to$A
A$\to$U$\to$V$\to$G$\to$V$\to$U$\to$V$\to$U$\to$A
のいずれかである. $ U $ の点, $ V $ の点をどの順に通るかは, 時刻1,時刻2にどの頂点にあるかを決めれば1通りなので,それぞれ $ 3! $ 通りある. よってその確率は $ 2\cdot \left(\dfrac{1}{3}\right)^8 \cdot 3!=\dfrac{4}{3^7} $ である. 一方, $ p_8=\dfrac{547}{3^7} $ なので, 求める条件付き確率は, $ \dfrac{\dfrac{4}{3^7}}{\dfrac{547}{3^7}}=\dfrac{4}{547} $ である.

問題