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ルジャンドルの多項式

問題 3.1       解答3.1

$n-1$ 以下の任意の整式 $Q(x)$ に対して,

\begin{displaymath}
\int_{-1}^1Q(x)P(x)\,dx=0
\end{displaymath}

を満たす $n$ 次式 $P(x)$ について次のことを示せ.
  1. $P(x)$ は定数倍を除いて一つしかないことを示せ. つまり,$A(x)$$B(x)$ がこのような整式とすると,適当な数 $k$ が存在して, $A(x)=kB(x)$ と表されることを示せ.
  2. 条件

    \begin{eqnarray*}
&&F(-1)=F'(-1)=F''(-1)=\cdots=F^{(n-1)}(-1)=0\\
&&F(1)=F'(1)=F''(1)=\cdots=F^{(n-1)}(1)=0
\end{eqnarray*}

    を満たす整式 $F(x)$ は, $\displaystyle \int_{-1}^1Q(x)F^{(n)}(x)\,dx =0$を満たす.
  3. $P(x)$ はある定数 $k$ を用いて $P(x)=k\dfrac{d^n}{dx^n}(x^2-1)^n\ (n 自然数)$ と表される.

    本問以下では $k=\dfrac{1}{2^nn!}$ にとったものを $P_n(x)$ とする.

  4. $n \ge 1$ に対して,つねに

    \begin{displaymath}
(n+1)P_{n+1}(x)-(2n+1)xP_n(x) +nP_{n-1}(x)=0
\end{displaymath}

    が成り立つことを示せ.
  5. $P_0(x),P_1(x),P_2(x),P_3(x),P_4(x)$ を求めよ.
  6. $P_n(-x)=(-1)^nP_n(x),\,P_n(1)=1,\,P_n(-1)=(-1)^n$ を示せ.
  7. $P_n(x)=0$ の根はすべて実数で,$-1$$1$の間にあり,重解ではなく, $P_{n-1}(x)=0$ の根で分離されることを示せ.つまり$n\ge 2$に対して, $P_n(x)=0$ の根を小さい方から $\alpha_1,\ \alpha_2,\ \cdots,\ \alpha_n$$P_{n-1}(x)=0$ の根を小さい方から $\beta_1,\ \beta_2,\ \cdots,\ \beta_{n-1}$ とすれば,

    \begin{displaymath}
-1<\alpha_1<\beta_1<\alpha_2<\beta_2<\cdots<\beta_{n-1}<\alpha_n<1
\end{displaymath}

    となることを示せ.
  8. 最高次数の係数が$P_n(x)$ と一致する任意の$n$ 次多項式 $F(x)$ に対し, 次の不等式を示せ.

    \begin{displaymath}
\dfrac{2}{2n+1} \le \int_{-1}^1\{F(x)\}^2\,dx
\end{displaymath}

  9. $P_n(x)=0$ の根を $\alpha_1,\ \alpha_2,\ \cdots,\ \alpha_n$ とする. $n-1$ 次以下の任意の整式 $g(x)$ に対し,つねに,

    \begin{displaymath}
\int_{-1}^1g(x)\,dx=\sum_{j=1}^nl_jg(\alpha_j)
\end{displaymath}

    となる定数 $l_1,\ l_2,\ \cdots,\ l_n$が存在することを示せ.
  10. $F(x)$$2n-1$ 次以下の整式とするとき,

    \begin{displaymath}
\int_{-1}^1F(x)\,dx=\sum_{j=1}^n l_jF(\alpha_j)
\end{displaymath}

    となることを示せ.



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