2と3を「5を法とする原始根」という.
フェルマの定理によれば が素数で, が で割り切れないとき,
さて「原始根」という呼び名はすでに「1の乗根」で出ている.
複素数全体の中で 乗してはじめて1になるものを「1の原始( 乗)根」と
呼んだ.
今は を法とする剰余の集合
上の集合 は 個の元からなる有限集合であるが, 和・差・積・商が定まる有限体である. また から0を除いた集合 は乗法に関して群であり, 要素の個数は個である.
次の定理が示すように,一般に素数に対して原始根が存在し, その原始根の順次のべきから のすべての元が得られる. つまり,原始根はこの「群を生成する」元である.
証明
を を法とする既約剰余系の一つの代表である数とする.言いかえれば
をとる. の指数を とする.
なので
さて なら 自身が原始根である. のとき. をもとに より大きい指数の数を構成できることを示す.
を法とする既約剰余系は 個あるので,
この場合(2.32)のいずれとも異なる剰余系がある.
そのような剰余系に属する数 をとる. の指数を とする.
このとき は の約数でない.もし約数なら
となる.
したがって も合同方程式(2.33)の解となり に関する仮定に反する.
そこで
(1) のとき. の指数は である.
なぜなら,まず
であるが,
逆に
とする.
このとき
同様に は の倍数でもあり, 定理 2 から は と
の最小公倍数の倍数である. から最小公倍数は .
ゆえに の指数は である.
より を法として より大きい指数の数が構成できた.
(2) のとき. と の最小公倍数を とする.
練習問題6の(6)のように
では の約数,
は の約数となるものをとる.
このとき
はそれぞれ指数が
である.より
の指数は.
は の約数ではないので .やはり
を法として より大きい指数の数が構成できた.
真に増加する指数の列ができ,しかも を越えないので有限回の操作で必ず指数
の数が構成できる.つまり原始根 は必ず存在する.
すでに見たように(2.32)は互いに合同でない.したがって
既約剰余系でみればであることが が原始根 であるための必要十分条件である.したがって原始根は個ある.