整数の場合と同じように, 整式が整式の倍数であるとは, を満たす整式が存在することと定義する. とに対してをで割った商と余りが確定するので がの倍数であることは, をで割った余りが0であることと同値である.
因数分解は
このように,約数や倍数,因数分解は,定数倍の違いを除いて決まる. の中で,0でない定数は逆数もまた整式である. 逆数もまた整式となるのは0でない定数にかぎる. つまりでは0でない定数が単数である.
0および定数でない整式は,つねに定数と の形の整式を約数に持つ. これら以外の約数を真の約数という. 真の約数を持たない整式を 既約 という.
既約かどうかは,定数倍しても変わらない.
注意 既約な整式への分解は,係数をどこで考えるかによって異なる. は次のようになる.
で, まで因数分解され,は既約.
で, まで因数分解され, は既約.
で, まで因数分解され,各項は既約.
整式の場合は,さらに剰余定理や因数定理という整式の理論によって方程式の解から因数分解の因数をさがすことができる. 多くの場合,二つの方法での解があるのはそのためである.