耕一
(1)のは
の垂心で,
となります.これは知っていました.
(2)の解は線分の中点です.これも代入すればわかります.
(3)で外接円の半径をとすると点のベクトル方程式は
となる.
ここに
を代入しを消去,整理してのベクトル方程式をつくると
さらにこの問題の解説のなかで先生が, まず鋭角三角形であることは必要でない.鈍角三角形,直角三角形でも同様に円が定まるといわれました. 確かに辺の延長線上を考えても,直交関係などは同じことなので,鈍角三角形でも同じです.
その上で,軌跡の円の上には,各頂点から対辺への垂線の足, 各辺の中点の合計9個の点が乗っていることを教えてくれました. 実際に図を描くと確かに9個の点が1つの円上にあって,感動しました.
各辺の中点の3点で定まる円と, 頂点から対辺への垂線の足の3点で定まる円と, 頂点と垂心の中点である3点で定まる円が一致するのです.
南海 一つの円上に9個もの点が乗っている. だからこの円を九点円というのだ. 最初にこれを見つけた人は感動しただろう.
ところが九点円はさらに不思議ないくつもの性質をもっている. それがフォイエルバッハの定理だ. フォイエルバッハの定理とは の内接円や傍接円がこの九点円に接しているということなのだ.
耕一 内接円と接しているのですか. 図を描いてみます. 接点が細かくなって少し見にくいですが, 確かに接しています.傍接円と接している方が見やすいです.
証明
点を
線分の中点を, 辺の中点を, 直線と辺の交点を とする.
この3点の組について示されたことは, 他の3点ずつの2組についても成立する.
中心と半径はいずれも同じなので,題意の9個の点は, 点を中心とする 半径の円周上に存在することが示された. □
南海 これでよい.
フォイエルバッハが1822年に証明したものである. このフォイエルバッハは『キリスト教の本質』等の著者である有名なフォイエルバッハの兄弟である. 欧州はフランス革命の後であり,今日に続く思想が生まれた時代である. この時代は日本でいえば江戸時代文政年間,幕藩体制の矛盾は大きくなっていたが,まだ討幕運動には至らないときであった.
今回はこの事実を三通りの方法で証明し,さらに接点を特徴づけていこう. 幾何の論証はこの半世紀,高校ではあまり教えられなくなった. この分野は19世紀に大きく展開され,膨大な蓄積があるが, それが受け継がれなくなっていくのはたいへん惜しい. だからできるだけ最近の高校生にわかりやすくやってみたい.