南海 5900から6000の間の素数はどのようにして見つけたのか.
拓生
先の100までの素数のなかで
5900から6000の間の数がと因数分解できてとすると,となるので, 小さい方の素因数は73以下です.
南海 このように,小さい素数で割り切れるものを除いていくことで,新たな素数を発見していく方法が エラトステネスの篩(ふるい)といわれるものだ. 正整数が素数であるかどうかを判定したければ,の範囲の素数で割ってみればよい. いずれでも割り切れなければ素数と判定してよい.
例えば1999は素数か.
拓生 でですから,2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41, 43 で割れるかどうかを調べればいいです. いずれでも割り切れないので素数です.
南海 このように,順に素数で割って割り切れる数をふるいにかけて除く.までの数に対して 以下の素数まで調べる. そのいずれでも割りきれずに残ったものが以下の素数である.
エラトステネス(Eratosthenes,紀元前276頃〜前192頃)は古代ギリシアの数学者,天文学者,地理学者だった. 素数の選別法として有名な「エラトステネスの篩(ふるい)」を発見した. また、はじめて赤道の周囲を測量し、約45000 km と算出した人でもある.主著は「地理学」である.
何ともすごい人だ.日本列島はようやく弥生時代に入ったばかりの頃だ.
ところで「篩(ふるい)」を知っているか.
拓生 「候補をふるいにかける」とか,「一次試験でふるい落とされる」などの言い方は知っていますが, 「篩(ふるい)」を見たことはありません.
南海
1831年(天保2)に薩摩藩主島津重豪(しまづしげひで)が曾槃・白尾国柱らに命じて作らせた農業書『成形図説』
に図が載っているので紹介しよう.この書は農事・五穀・疎菜・薬草・草木・鳥類などについて,和漢洋の諸書で
考証し,さらに綿密な図を掲げ,編纂させた百科全書である.全100巻の大部なものだ.和語,漢語,オランダ語の
名前を記し,説明を付けている.
拓生 周りが鉄で出来ていて電気で振動するものを見たことがあります. 工事しているところで小石を除くのに使われています.
南海 そう.あれが篩だ.
少し回り道をしたが,さて君の質問は?
拓生 1から100には24個もあるのに,5900から6000では7個しかありません.大きな数になるといろんな素数が それまでにあるので,だんだん新しい素数の出現が少なくなっていくのは,そうだろうと思うのですが. では,どのような割合で出現するのかとか,そういうことを聞きたいのです.
南海 なるほど.どのように素数が分布しているのかということを,素数の分布に関する問題という. これを考えるために,正の実数を越えない素数の個数をと表そう.
拓生