上: 単位分数のエジプト分数による下からの近似
前: 1変数のムーアヘッドの不等式
この証明は,文献[1]の証明を
単位分数の下からの近似の場合に一般化したものである.
についての数学的帰納法で示す.
のときはなので
なら,つまりである.よって
は成立し,等号成立はのときにかぎる.
定理1の以下での成立を仮定する.
と表すとき,
より
である.
よって
である.
補題1より
なので,
なら
となり成立.
以下では
とする.
のとき.
帰納法の仮定により
は成立.
より,
が成立し,等号成立条件も成立する.
のとき.
このとき不等式の成立と等号の不成立を示せばよい.
とあわせると,
番号で
となる最大のものがある.
それをとする.である.
であるから
である.有理数と整数を
で定める.
である.ここで
とする.この実数の列は条件
を満たし,さらに
を満たす.ただしの範囲では等号不成立.
よって,数列
は補題2の条件を満たす.
で補題2を用いる.この場合,から,等号は成立しない.
\[
\sum_{i=1}^{n-l+2}e^{-s_i}=\sum_{i=1}^{n-l+1}e^{-\log(q_{l+i-1})}+e^{-\log r}
>
\sum_{i=1}^{n-l+2}e^{-t_i}=\sum_{i=1}^{n-l+2}e^{-\log(a_{l+i-1})}
\]
を得る.これから
を得る.ここで,より
なので,
である.
帰納法の仮定から
は成立.両辺加えてのときの成立が示され,等号成立条件も成立する.
(証明終わり)
参考文献
- [1]
- APPROXIMATING 1 FROM BELOW USING n EGYPTIAN FRACTIONS,
(by K.SOUNDRARAJAN)
- [2]
- 『不等式』(G.H.ハーディ/J.E.リトルウッド著,細川尋史訳,シュプリンガー社)
- [3]
- 「対称式と不等式」(示野信一著,数学セミナー2009年2月号所収)
- [4]
- 「ムーアヘッドの不等式とその応用」
(青空学園数学科内の『数学対話』所収)
2013年6月24日
Approximating a unit fraction from below using n egyptian fractions
Aozora
2013-09-03