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南海
線型写像に対して,一組の基底
をとると,線型写像には,その基底の像をもとの基底で表したとき
となる行列
が対応するのだった.
そこで基底をうまくとって,
この行列が対角行列になるようにできないか,という問題が起こる.
ただし,対角行列とは,
となる行列のことをいう.
耕一
それは
つまり
となる1次独立な個のベクトルが見つかればいいということですね.
南海
そこで,線型写像に対して
|
(1.3) |
となるベクトル
を,
固有値に対する固有ベクトルという.
固有値と固有ベクトルを具体的に計算するために,
一組の基底が固定され,線型写像が上のように行列で表されているとする.
耕一
すると関係式(1.3)は
となります.
南海
を単行列とすれば
である.零ベクトルでない解
が存在するためには,行列式
が必要十分な条件である.
この行列式はの次多項式である.
これを固有多項式という.
耕一
のとき.
のときは複雑になります.
南海
うまく行列や小行列でまとめた.
耕一
線型写像に対して一組の基底をとり,行列を定め,
それによって固有多項式ができました.
基底のとり方をかえれば多項式は変わるのですか.
南海
基底のとり方をかえれば,対応する行列は
に変わる.このとき
なので,固有多項式は変わらない.つまり固有多項式は線型写像によって定まる.
それでこれ以降,固有多項式をのように表すことにする.
すると既に見たように,次方程式
の根に対して
となるベクトル
が存在する.
これが固有値に対応する固有ベクトルである.
定理 5
線型写像
の固有多項式を
とする.
次方程式
に異なる0でない根
があるとき,それらの根に対応する固有ベクトル
は一次独立である.
証明
についての数学的帰納法で示す.
のとき.
が一次従属なら
となる0でない数がある.ところが
となり,ベクトル
の固有値がとなる.
これは
に反する.
のとき成立するとし,のときも成立することを示す.
ここで,
は一次従属であるとする.
するとベクトル
は,
すべては0ではない係数
を用いて
と他の個のベクトルで表される.
より
これから
数学的帰納法の仮定から
は一次独立である.
したがって
のうちには0でないものが存在するので,
がすべて異なることとに反する.
ゆえに
は一次独立である.
で成立したので,定理が示された.□
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