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はらう

はらう(祓う、払う、掃う)←[farafu]

◯[far]と[u]。すっかり何かうなくすること。[fa]は「は(端)」であり、[far]は「はるか(遙か)」、「はら(原)」の語根と同根。

※ 祓う タミル語<par-ave>由来。払う タミル語<par-iyam>由来。 

◆有害なもの、無益なもの、汚れなどを離し、すっかり除くすこと。代金などを払うの意は近世。

▼有害・無益・不用のものを取り除く、除去する。放逐する。目前の人を引き下がらせる。 ◇松の小枝をはらう。 ◇『万葉集』一九八四「この頃の恋の繁けく夏草の刈り掃(はらへ)ども生ひしく如し」 ◇『万葉集』三四八九「梓弓欲良(よら)の山辺の繁げかくに妹ろを立ててさ寝処波良布(ハラフ)も」 ◇『源氏物語』末摘花「橘の木のうづもれたる、御随身召してはらはせ給ふ ◇『日本書紀』神代「遂に神逐(かむやらひ)の理を以て逐此」 ◇『落窪物語』二「帯刀さきに立ちて、道なる人々はらふ」

▼罪やけがれを除き去る。神に祈って、災い、罪、けがれを除き清める。 ◇『日本書紀』神代「其の穢悪(けからはしきもの)を濯(すす)き除(はらは)むと欲(を)ほし」 ◇『源氏物語』夕霧「はやうより御祈りの師に、物の怪など、はらひ捨てける律師」 ◇『日本書紀』神代「筑紫の日向の小戸(をと)の橘の檍原(あはきはら)に往きて祓(みそ)き除(はらへ)たまふ」 ◇『日本霊異記』「卜者を喚び集へて、祓(はら)へ祈(の)み祷(いの)れども、亦彌増(いやまし)に病む」

▼人に売り渡す。売りはらう。処分する。金銭を渡す。代金を支払う。心をむける。 ◇古くなったので売り払った。虎明本狂言・合柿「うぢがきが大なりが致てござるに依て<略>在所にてはらふ事がならぬ程に」 ◇賃金を払う。 ◇敬意をはらう。