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はる(晴る)

はる(晴る、霽る)[haru]←[faru]

◯「は(端)」[h]つまり外の世界から「あ」[a]らわれ「る」[ru]こと。 五十音図で[a]段がこの世界の外からきて現れることで、[ru]はそれを実現すること。

※語根[far]は「はるか(遙か)」、「はらう(払う)」、「はる(墾る)」、「はる(春)」、「はら(原)」などの語根[far]と同源。「ふさがっていたものが無くなり現れる」の意味を共有する。

「はる(張る)」「はれる(腫れる)」の語根[far]とも同じである。が、名義抄の時代になると、これをアクセントで区別し、別語とされるようになった。

※タミル語<para>由来。水・空・気・香り・雲・流行病・光などが拡散すること。

◆ふさいでいたものが無くなり、開け放たれて広々となったところに、かくれていた本来あるべきものが現れること。雲や霧などふさがっていたものが消え、空が広々と現れる。

▼雲や霧が消えてなくなる。また雨や雪があがる。 ◇晴のち曇 ◇『万葉集』一五六九「雨晴れて清く照りたるこの月夜またさらにして雲な棚引き」 ◇『万葉集』二二二七「思はぬに時雨の雨は降りたれど天雲霽れて月夜さやけし」

▽物思いや悩みが解消すること。 ◇『古今集』三八六「秋霧のともにたちいでてわかれなばはれぬ思ひに恋や渡らむ」 ◇『古今集』九三五「晴れずのみ思い尽きせぬ世の中の憂さ」 ◇『海道記』「雲に舞鶴の声、晴の空をしる」

▽疑いが無くなること ◇彼の容疑は晴れた。

【はれ(晴)】

※晴れた状態を表す名詞。

▼晴れたところ。日の当たるところ。日なた。 ◇『今昔物語』一〇・一〇「晴に出でて蔭を離れむと走る時には」

▽さえぎるものがなく広々とした所。また、晴れやかな所。人なか。公衆の面前。まばゆいばかりであること。晴れがましいこと。 ◇晴れの場所。晴れと着飾る。 ◇晴れの着物。晴れ着。(また、それを着た姿、様子)晴れ姿。 ◇『源氏物語』須磨「居給へるさま、さるはれにいでて、いふよしなく見え給ふ」 ◇『栄花物語』もとのしづく「かかりけるはれのことに、さるべき用意あるべかりけるものを」

▼「け(褻)」の対語。日常と違うあらたまった場所や状態。正式の場所。公の席。よそいきなこと。 ◇『源平盛衰記』四〇「一門の月卿雲客、今日を晴れときらめきて」 ◇晴れ舞台。

※日常の生活が「け(褻)」。そのなかに、外からの來訪があってもてなすのが「はれ」。祭りは神を迎えてのもてなし。

【はればれしい(晴れ晴れしい)】はれた様子。すっかり晴れるさまを表す語。心のわだかまりがとれてさっぱりするさまを表す語。中世以降は「晴れ晴れ」と副詞で使うことが多い。

◇『日葡辞書』「テンキガfarebareto(ハレバレト)ナッタ」 ◇はれやかに。晴れ晴れした顔だなあ。 ◇『枕草子』二九二「今朝まではればれしかりつる空ともおぼえず」 ◇『源氏物語』藤裏葉「おもひ屈しつる命も、のべまほしう、はればれしきにつけて」 ◇『狹衣物語』三「例ならず、はればれしき御しつらひに」 ◇『源氏物語』椎本「御心もて、はれはれしく、もて出でさせ給はばこそ、罪も侍らめ」 ◇『狹衣物語』一「小さき御几帳も押し遣られて、いとはればれしければ」 ◇『源氏物語』東屋「こぼちし寝殿、こたみは、いと、はればれしう造りなしたり」