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はる(張る)

はる(張る)[haru]←[faru]

◯端から端までたるみやゆるみのなようにのばし拡げる。

※タミル語<paru>由来。

◆芽が膨らんだり強く盛んになるときのように、たるみやゆるみ皺がなく、いきいきとしているさま。その状態にすること。そのような時節こそ「はる(春)」である。

▼たるみのないように引きのばし広げる。 ▽布、網などを、たるみのないようにのばし広げる。 ◇『万葉集』一一八二「海人小舟帆かも張れる見るまでに鞆の浦廻に波立てる見ゆ」 ◇『源氏物語』須磨「海の面は衾をはりたらむやうに光り満ちて、雷鳴りひらめく」

▽糸、紐、綱などを、一方からもう一方へ延ばして渡す。 ◇『万葉集』二八九「天の原ふりさけ見れば白真弓張(はり)て懸けたり夜路は吉けむ」 ▽液体を一面に満たす。「桶に水を張る」

▼声や気持などをゆるみのないようにする。 ▽気持をゆるみなく保つ。緊張させる。 ◇『源氏物語』真木柱「いとさがなげに睨みて、はりゐたれば、わづらはしくて」 ◇「外聞に無用の気をはる」 ▽肘、肩、胸などをぐっと延ばしたり広げたりする。 ◇『天草本伊曾保物語』「ヒヂヲfatte(ハッテ)」 ▽(頭や顔を)たたく。なぐる。特に、平手で横ざまに打つ。 ◇『平家物語』四「仲綱め打て、はれなんどの給ひ」 ▽(多く「ハル」と書く)謡曲、義太夫などで、声を強く出す。節を、上音にうたいあげる。 ◇『申楽談儀』「『君をいはひて』『はひて』と張るべからず」 ▽威勢などを見せる。盛んであるようなさまを人に示す。 ◇「みえを張る」 ▽自分の意見や気持を押し通す。主張する。 ◇「意地を張る」 ▽取引市場で、思惑売買をする。

▼設備する。また、ある位置をとって構える。 ▽広げるように作り設ける。「宴を張る」 ◇『古事記』中・歌謡「鴫羂(しぎわな)波留(ハル)」 ▽(将棋の駒を)ある場所に打つ。 ▽博打(ばくち)で、金銭などを賭(か)ける。また、ある箇所、ある物に賭ける。 ◇「さあはったはった」 ▽何をするかと見守る。また、捕えようとして、来そうな所を見張る。特に、色恋の相手としてねらう。 ◇『源氏物語』真木柱「いとさがなげににらみてはり居たれば」 ▽娼妓が客をひくために店先に並ぶ。 ▽ある地位にしっかりと身を置く。 ◇「横綱を張る」

▼張る状態になる(自動詞) ▽草木の芽がふくらむ。 ◇『万葉集』三四四三「うらも無くわが行く道に青柳の波里(ハリ)て立てればもの思ひ出つも」 ▽腹、乳などがふくらむ。 ▽筋肉が、固くなったりはれたりする。 ◇「肩が張る」 ▽たるみなくひき渡される。 ◇「糸が張る」 ▽つき出てかどができる。かくばる。 ◇「顎骨が張る」 ▽一面におおうように広がる。また、長くのびひろがる。 ◇「根が張る」 ◇「氷がはる」 ▽強く盛んになる。目立って現われる。 ◇「欲が張る」 ▽気持が引き締まる。 ◇「気がはる」 ▽他に負けまいとして対抗する。競争する。張り合う。