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はるか

はるか(遥か)[haruka]←[faruka]

◯「か[ka]」は「住みか」、「ありか」と同じく,状態や場所を意味する。おおっていたものがなくなり広々とはれた状態。

※語根[far]は「はる(晴る)」「はら(原)」などの語根[far]と同源。

※タミル語<para>由来。

◆あいだに遮るものがまったく無く、そのままずっとかなたの果てまで見通せること。またその様。空間的にも、時間的にも用いる。

▼空間について。 ◇『古今集』一四二「おとは山けさこえくれば郭公こずゑはるかに今ぞなくなる」 ◇『伊勢物語』一〇二「京にもあらず、はるかなる山里に住みけり」 ◇『滑稽本・浮世風呂』三「はるか見ゆるが津の島灘よ」

▼時間について。 ◇『枕草子』一〇七「ゆくすゑはるかなるもの、…産まれたるちごの大人になるほど」

▼心理的にも用いる。この場合は基本的に心が隔たっていることを表す。

心理的にいちじるしく隔たっているさま。差違のはなはだしいさま。近づきがたく隔たっているさま。奥行のあるさま。深遠。縁遠いさま。また、あえて遠ざけるさま。自分に関係のないものと思うさま。程度がはなはだしいさま。

▽及びもつかないかけはなれた存在であるさま。 ◇『大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点』「况や仏教の幽(ハルカニ)微(くは)しきをば」 ◇『源氏物語』明石「世にはかかる人もおはしけりと見たてまつりて,身のほど知られて、いとはるかにぞ思えきこえる」」 ◇『今昔物語』四・二「味はひ遥に変じて悪(あしき)也」 ◇『講談・風流志道軒伝四「其大さ五岳にもはるかまさり」』

▽気持ちが向かないさま。 ◇『源氏物語』桐壺「大床子の御膳(もの)などは、いとはるかに思し召したれば」

▽よそよそしいさま。 ◇『源氏物語』蛍「いとはるかにもてなし給ふうれ(愁)はしさをいみじく恨み聞こえたまふ」