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ひらく

【ひらく(開く)】[hiraku]←[firaku]

■「ひろ(広)あく(明)」が語源。

▼合わせ目を広げてものの中を明るくすること。

▽閉じふさがったものを押し広げる。まとまっているものをほぐして広げる。 ◇あけひろげる。開放する。戸をあける。窓を開く。 ◇『万葉集』一六七「天の原岩戸をひらき」 ◇『万葉集』四四六五「ひさかたの天の戸比良伎(ヒラキ)」

▽閉ざされた場所、建物などを人がはいれる状態にする。 ◇広く門戸を開く。 ◇開かれた世界。

▽(「心を開く」「胸襟を開く」などの形で)自分の殻を解き放って、隠すところなくする。

▽(「愁眉を開く」の形で)悲しみや心配がなくなる。

▽(「披」「展」とも)たたんであるもの、くっついているものなどを広げる。 ◇包みを開く。

▽文書、書籍などを見るために広げる。 ◇『淨璢璃』吉野忠信‐二「判官文をひらいて御覧ずるに」

○魚の腹または背を切って広げる。

▽「割る」「砕く」などの意で用いる忌み詞。 ◇鏡開き。

▽数学で、開平・開立をする。累乗根を求める。一般に、n乗根を求めることをn乗に開くといい、平方根を求めることを平方に開く、立方根を求めることを立方に開くという。

▼物事を新たに興す。創設する。また、物事を良い方に展開させる。

▽(「拓」とも)未開拓の場所、土地などに手を加えて整える。 ◇荒地を拓く。 ◇『大唐西域記』巻十二(平安中期点)「谷を奠(ヒライ)て或は堂宇を建たり」

▽新しい流儀、学説などをたてる。 ◇一派を開く。

▽事柄を開始する。

▽事業、商売、会合などを始める。起こす。 ◇『滑稽本』浮世風呂‐前「天明(よあけ)ていまだ店を開(ヒラ)かず」

▽もよおす。開催する。 ◇祝宴を開く。 ◇『海に生くる人々』(葉山嘉樹)「戦争はすぐ開かれるか、後で開かれるか」

▽繁栄、幸福、幸運などを求めて、その状態になるようにする。 ◇『大鏡』六「門をひらき、栄花をひらかせ給へば」

▼(「啓」とも)事柄を明らかにする。解き明かす。疑念などを晴らす。弁明する。 ◇『守護国界主陀羅尼経』平安中期点三「斉しく疑ひを啓(ヒラカ)しめたまふ」

▽無知蒙昧(もうまい)を教えただす。 ◇蒙を啓く。

▽真理、道理などを明らかにする。また、その奥義や悟りの域に到達する。 ◇悟りを開く。 ◇『太平記』一「玄を談し理を折(ヒラク)」

▼ものが合わせ目を広げて明るみに出ること。

▽閉じふさがったものが広がりあく。 ◇『松浦宮』二四「ひらけるかどよりうちいる道もさりあへず」

▽花などがほころびる。開花する。 ◇蕾が開く。 ◇『浮世草子』好色一代女一「開(ヒラ)ける梅暦に春を覚え」

▽物事が良い方向にゆく。繁栄したり幸運な状態になったりする。 ◇『淨璢璃・源頼家源実朝鎌倉三代記』七「開(ヒラ)く御運が定ならば」

▽(敵の攻撃などに対して)身を引いて構える。また、身をかわす。 ◇『太平記』三二「件の鉞(まさかり)を以て開き<略>思様に打ける処を」

▽宴会、会合などが終わって帰る。また、解散する。 ◇お開きにする。 ◇『洒落本』色深娑睡夢下「目出たふ笑ふて皈(ヒラキ)やせふ」

▽ものとものの間に隔たりができる。まる距離が隔たる。 ◇一〇メートル開いてゴールした。

▽差がつく。格が違う。 ◇得点は大きく開いた。

▽値段に違いが出る。値が離れる。