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ま(間)

ま(間)[ma]

◯同じもの一と一の二つによって定義される場、それが「ま」である。一対になった同質のものとものの「隔たり」そのものを意味する。したがって同じものが動いてできる始めと終わりの場を「ま」という。

◆「ま(間)」は同質なものの隔たりである。これに対して、「あいだ」は一定の関係にある二つのものが作り出す隔たりである。 ◇「長い間(あいだ)ご無沙汰していました」 ◇「間(ま)を見計らって話しかける」

※「ま(間)」はたいへん古いことばであり、二つのものにはさまれた空間、場に意味を見出すことは、じつに長い時をへて形成されたと考えられる。

▼おなじものとものとの「間」は基本的にいわゆる空間的な「間」である。 ◇『万葉集』一一九四「海人(あま)のともし火浪の間(ま)ゆ見ゆ」 ◇『宇津保物語』吹上上「ま一つに臼四つ立てたり」

▽建物の柱と柱の間、この間隔に面した建物の部分を含めてもいうようになった。部屋などの一区切り。古代の家屋は、部屋としての独立した構造を持たないことが多いので、几帳、障子、襖などで区切られた一区画をさしていう。部屋がそれぞれ独立して作られるようになると、主として部屋をさしていう。 ◇居間、床の間。

▼何かのことがすぐに起こるまでの時間、あるいはまだ起こらない限られた時間もいう。 ◇「開演まで間がある」 ◇『万葉集』八〇四「いつの麻(マ)か霜の降りけむ」 ◇「鬼のいぬ間の洗濯」 ◇『万葉集』七〇九「月待ちていませ我が夫子(せこ)その間(ま)にも見む」 ◇「間(ま)無し」 ◇「間をうかがう」

▽邦楽・舞踊・演劇で、音と音、動作と動作の間の休止の時間的長短をいう。転じて、拍節・リズム・テンポと同意に用いる。間は空虚なのではなく、長短に関わらず次の出現をはらむな準備であり、関係が象徴的に表される時である。 ◇「間のとり方」「間合い」

▼単位としての間(ま)。柱と柱の間を単位として数える時に用いる。実際の長さは一定しないが、六尺から一〇尺ぐらいをさす。室町時代には七尺ないし六・五尺であった。さらに、建物や部屋の広さをいうのに用いる。一間は、一間に一間の広さをいい、五間といえば二間に二間半の広さをいう。また、部屋の数を数えるのに用いる。「三間の家」