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わざ

わざ(業、技)[waza]

◯ものの隠された意味が、そのいのちの発現として、生き生きと顕れ動くその動きのこと。

◆「わざわい」の「ワザ」と同じ。この「わざ」は神意がその事に顕れていることをいう。このように、「わざ」は人が内部に啓示を受けて、それを様々の方法で表そうとすること。

▼深い意味や、重大な意図をもつ行為や行事。 ▽行為。 ◇『続日本紀』天平神護二年一〇月二〇日・宣命「朕(あ)が敬まひ報いまつる和佐(ワサ)としてなも此の位冠を授けまつらくと勅りたまふ」 ◇『万葉集』七二一「あしひきの山にしをれば風流(みやび)なみわがする事(和射 わざ)をとがめたまふな」

▽行事。 ◇『万葉集』一七五九「人妻に吾(あ)も交わらむ、吾が妻に人も言問へ、此の山をうしはく神の昔より禁(いさ)めぬ業そ 今日のみは めぐしもな見そ 言も咎むな」

▼仏事法会。神事。 ◇『古今集』五五六「しもついづもでらに人のわざしける日」 ◇『源氏物語』葵「はかなう過ぎゆけば、御わざのいそぎなどさせたまふも、思しかけざりし事なれば、尽きせずいみじうなむ」

▼仕事。つとめ。職業。 ◇『古本説話集』五〇「大木ども、ただこの牛一つして、運ぶわざをなんしける」

▼でき事。事柄。物事の深い事情や状態、次第などを問題にしていう。 ◇容易なわざではない。 ◇『源氏物語』夕顔「鍵を置きまどはし侍りて、いとふびんなるわざなりや」 ◇『源氏物語』夕顔「ものめやかなる大人をかく思ふも、げにをこがましく、うしろめたきわざなりや」

▼技芸。技術。手段。腕前。 ◇わざを磨く。 ◇『平家物語』九「風をふせぐたよりもなく、雨をもらさぬわざもなし」 ◇『東西南北』与謝野鉄幹「立ち舞ふ伎(わざ)に怜悧(かしこ)ければ」