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いず(出ず)

いず(いづ)(出ず)[izu]

◯うちからそとにうつる。

◆内にあるものが、外に動き、外において、見えるようになる。

※「いる(入る)」の対義語。また「あらわれる(現れる)」はうちそとに関係なく、出現すること。

▼でる(出る)。内の所、外から見えない所、私的な所などから、広々とした所、人目にたつ所、表だった所などに現われる。

▽内から外へ行く。出かける。 ◇『古事記』上・歌謡「ぬばたまの夜(よ)は伊伝(イデ)なむ」 ◇『万葉集』一〇七一「山の末(は)にいさよふ月を出でむかと待ちつつ居るに夜そ降(くた)ちける」

▽離れる。去る。離職、離縁、出家、卒業などする。 ◇『栄花物語』月の宴「その暁にいで給ひて、法師になり給ひにけり」

▼内に隠れていたものなどが外に現われる。

▽さえぎられたり、おおわれたりなどして隠れていたものが表に現われてくる。出現する。 ◇「いで湯」 ◇『万葉集』四三六〇「浜に伊泥(イデ)て海原見れば」 ◇『万葉集』三三六八「土肥の河内に伊豆流(イヅル)湯の」 ◇『古今集』八七七「おそくいづる月にもあるかな」

▽新しく生ずる。発生する。生まれる。また、ある土地から産出する。 ◇『伊勢物語』九六「身に瘡(かさ)も一つ二ついでたり」

▽表だった所に発表される。特に、出版される。 ◇「掲示に出ず」 ◇「新聞に出ず」

▽ある限界、標準などを越える。超越する。ぬきんでる。 ◇『宇治拾遺物語』一・六「生死のさかひをいでなんと」

(あることに)原因がある。もとづく。「その処置過激に出ず」

▼だす(出す)

▽内にあるものを外におき、見える、聞こえる(等)ようにする。 ◇『万葉集』四〇〇八「言に伊泥(イデ)て言はばゆゆしみ」

▽(動詞の連用形に付いて)その動詞の示す作用によって、表に現わす意。 ◇「言ひいず」、「染めいず」、「取りいず」、「召しいず」。 ◇「言い出す」、「取り出す」。