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から

から(柄、族、幹)[kara][gara]

◆一つのたねから芽を出しいのちをつないだもの。

※タミル語<kal>起源。満州語、蒙古語の<kala><xara>と同系といわれてきた。これらの語はすべてユーラシアの古い言葉であろうと考えられる。

▼同じ血のつながりを持つこと。血縁関係にあること。 ◇『宣命』二五「いや益す益すに朕が私の父母はらからに至まで在るべき状のまにまにと」

▽一家の親族。一族。同族。 ◇『日本書紀』雄略二一年三月(前田本訓)「百済の国属(ヤカラ)既に亡びて」 ◇「うから(親族)」「やから(族)」「はらから(同胞)」

▽仲間。てあい。連中。 ◇『宇津保物語』蔵開中「わが君をわびさせ奉る盗人のやからは」 ◇「不逞の輩」

▼その物に本来備わっている性質、性格。本性。 ◇『万葉集』三一五「み吉野の芳野の宮は山可良(カラ)し 貴かるらし川可良(カラ)し清(さや)けかるらし」 ◇「国柄(くにがら)」「神柄(かむから)」「山柄(やまから)」 ◇「人柄」「家柄」「続柄」「場所柄」「時節柄」

▽そのものの由来するところ。原因や理由。 ◇『万葉集』四〇六九「明日よりは継ぎて聞こえむほととぎす一夜の故(から)に恋いわたるかも」 ◇『万葉集』四三五八「わが母の袖持ち撫でてわが故(から)に泣きし心を忘らえぬかも」

▼芽を出しまっすぐに伸びたもの。 ▽草木の茎。 ◇『日本書紀』歌謡「なづきの 田の稲幹(がら)に 稲幹(がら)に 這ひ廻(もとほ)ろふところ葛」 ◇『万葉集』二七五九「わが屋戸の穂蓼古幹(ふるから)採(つ)み生し実になるまでに君をし待たなむ」

▽同じ種のものに備わること。ここからその人に本来そなわっている、また、その人の身なりや態度から感じられる品や性格。 ◇「がらの悪い男」 ◇「柄にもない」

▽布、織物などの模様をいう。 ◇「柄がはでだ」

▽道具の柄 ◇『万葉集』一四五五「たまきはる命に向かひ恋ひむゆは君がみ船の楫柄にもが」

▽体つき。 ◇「がらの大きい人」