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たね

たね(種)[tane]

◯「たね(種)[tane]」は、「た(田)[ta]」と大地の「な[na]」から構成された「タナ」の転じた言葉。

◆植物が芽を出す根拠となるもの。実の中にある。ここから人におよんで血筋や血統,さらにまた原因や根拠などまで意味するようになる。

▼果実のなかにあって草木の発芽のもとになるもの。種子(しゅし)。 ◇『万葉集』二九九九「水を多み、あげ(高田のこと)に種まき」

▽動物の発生するもととなるもの。精子など、生殖のもとになるもの。

▽血統。血すじ。また、それを伝えるものとしての子。子孫。系統。 ◇『源氏物語』常夏「かかりける種ながら、あやしき小家に生い出でけること」 ◇『大鏡』一「いひもていけば、おなじたね、ひとつすぢにぞおはしあれど」

▼物事の発生するもと。根源。原因。 ◇それが私の悩み(なげき)のたねだ。 ◇『源氏物語』東屋「物思ふたねをやいとど蒔かせて見侍らむ」

▼物をつくる材料。料理の材料。汁の実。物事のよりどころとするもの。準拠する基(もとい)となるもの。 ◇小説(話)のたねをさがしている。 ◇この技が飯のたね。