【あいだ(間)】[aida]←[afida]
■二つのものが「あう(合う)[afi]」ことでできる場、所(た(だ)[ta]は場、所を表す)。二つのものにはさまれた状態で存在する場。
※「あう(合う)[afi]」は「あう」[afu]、「合い間」、「あい対する」などの「あい」と同じ。タミル語の<opp-u>(【合う】参照)に、[ta]がついた。
◆対になった二つのものにはさまれた何もない場所、これが「あいだ(間)」である。時間にも用いる。時間では何らかの動作が途絶え次の動作が起こるまでの時間。ここからさらに一定の限りのある時間や期間をいうようになった。
※「ま(間)」は一対になった同質のものとものの「隔たり」そのものを意味する。したがって同じものが動いてできる始めと終わりの場を「ま」という。これ対して「あいだ(間)」はその二つのものが同質であるかどうかは問わない。連続せず途絶えることが「あいだ」である。
「ま(間)」が短い時間、「あいだ(間)」が長い時間を表すことになる場合が多いが、時間の長短を問えば、結果としてそのようになるということであって、長短がこの二語の違いの本質ではない。
◇話のま(間)が空く。[同じ話という行為が中断する]
◇朝起きて夜寝るまでの間(間)[「起きる」と「寝る」のように別の行為が行われるまでの時間]
◇蝉は夏のあいだ(間)鳴き続ける。春と秋の間の夏という期間。
◇夏のま(間)だけの蝉の命。夏にはじまり夏に終わるという意味。
▼二つのものにはさまれて、何もない部分。空間のへだたり。
◇『万葉集』二四四八「白玉の間(あひだ)開(あ)けつつ貫(ぬ)ける緒も」
◇『万葉集』三五七一「己妻(おのづま)をひとの里に置きおほほしく見つつそ来ぬる此の道の安比太(アヒダ)」
◇本州と北海道の間が津軽海峡だ。
▽「こと」にも用いる。ことがとだえる時。とだえるに重点のあるときも、時に重点のあるときもある。
◇『万葉集』三七八五「ほととぎすあひだしまし置け」
◇『万葉集』七九四「心ゆも思はぬ阿比徃(アヒダ)にうち靡き」
▽(平安時代以降)こととことの関係。人と人の関係。間柄。仲。
◇『源氏物語』賢木「宮のあひだの事、おぼつかなくなり侍りにければ」
◇二人のあいだ、夫婦のあいだ。
◇人々の間ではやっている。
◇都市と農村のあいだにはまだ大きな経済的格差がある。
◇大学生のあいだ経済的援助を受けた。