【あう(合う・会う・逢う・遭う)】[au]←[afu]
■外の世界からきた(端[fa]からもたらす[fu])ものとものが互いにひきあう([a])こと。ものにひかれ、ものとものが一つになること。「あはれ」([af]-[are])がひかれあったその状態を表す。
※タミル語<opp-u>(o〜a、pp〜f 対応)。
▼ものともの、人と人があうこと。物と物とが一つに重なる。また、物と物とがつり合う。
◇『古事記』下・歌謡「吾が愛(は)し妻にい及(し)き阿波(アハ)むかも」
◇『万葉集』三三〇三「うらぶれて夫(つま)は会(あひき)と」
◇『万葉集』三四八二「からころも裾のうち交(か)へ安波(アハ)ねども異(け)しき心をあが思わなくに」
◇『源氏物語』若菜「この夢あふまで又人にまねぶなとの給ひて
◇『枕草子』一四二「声あはせて舞ふほどもいとをかしきに、水の流るる音、笛の声などあひたるは」
◇『蜻蛉日記』上「よる、目もあわぬままに、なげきあかしつつ」
▽男女が関係を結ぶ。結婚する。
◇『竹取物語』「此世の人は男は女にあふ事をす。女は男にあふ事をす」
▽相手に立ち向かう。戦い争う。
◇『平家物語』四「鬼にも神にもあはうどいふ一人当千のつはもの也」
▼ことがあうこと。状態や程度が互いによくつり合う
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◇『万葉集』三六七五「沖つ波高く立つ日に安敝(アヘ)りきと都の人は聞きてけむかも」
◇『土左日記』「人のほどにあはねば、とがむるなり」
◇『蜻蛉日記』上「こがれたる朽葉にあひたる心ちもいとおかしうおぼゆ」
◇『今昔物語』二九・一九「会ふ敵无き者にてぞ有ける」
◇『枕草子』一〇六「すこし春あるここちこそすれとあるは、げにけふのけしきにいとようあひたるも」
◇『徒然草』一七五「かくからき目にあひたらん人」
▼補助動詞として用い、二つ以上のものが同じ動作をすることを表わす。
◇「うわさしあう」「奪い合う」「愛しあう」「語りあう」
◇『万葉集』四一〇六「紐の緒のいつがり安比(アヒ)てにほ鳥のふたりならびゐ」
◇『徒然草』一一五「心行くばかりつらぬきあひて、共に死ににけり」