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かた(型)

【かた(型)】[kata]←[koto]

■いくつかのものを分節してとらえ、そこに同じことを見出すとき、その内容をかた(型)と表す。同じとこと(言)としてとらえるちからは、人がこの世界からさち(幸)を受け取るその方法においてわかる。混沌とし茫漠とした状態のなかに何かのものが明確に分節され形成され、一定の共通性を見出すとき、その共通性をかた(型、[kata])と表す。

※こと([koto])とかた([kata])はともにタミル語<katan>起源。

◆ことと同じく、原義は「義務、任務、約束である。ここから一定の形式をもちゆるがないものととらえられたことが「型、形、像」になった。

▼義務、任務、約束

▽借りた金が返せない場合の保証として相手に渡す約束をした物。抵当。担保。

◇カメラをかたに金を借りる。

古代は「こと」であった。

◇『万葉集』四一一六「つか(仕)ふるくに(国)の とし(年)のうちの ことかた(結)ね持ち」
◇『万葉集』四一一六「あ(吾)がまつきみが こと終わり かへりまかりて」

▼(型) いくつかの形の共通性を取り出し示す。

◇『宇治拾遺物語』四九八「したうづのかたをとりにおこせて侍りければ」
◇古い型を破る。
◇柔道の型
◇血液型、新しい型の自動車

▼(形) 分節されたものの具体的なありさま。

◇『日本書紀』雄略四年八月・歌謡「汝(な)が柯徃(カタ)は置かむ蜻蛉島大和(あきづしまやまと)」
◇『落窪物語』三「白銀を筆のかたに作りて」
◇『古今集』二九三「御屏風に竜田川にもみぢながれたるかたをかけりけるを」
◇『日本書紀』天武一〇年八月(北野本訓)「多禰嶋に使人等を遣して、多禰国の図(カタ)を貢る」
◇『源氏物語』須磨「所せく集ひ馬・車の、かたもなくさびしきに」

▼(像、兆) 動物の骨を焼いて占うときに現れるひび割れの形。

◇『万葉集』三四八八「告(の)らぬ妹が名可多(カタ)に出でむかも」


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