up 上: 定義集

ほうほう

【方法(ほうほう)】

■しかた。人間が、あることをする、仕方。「仕方」は「し−かた」であり、「かた」は「する」このとの方向性であるとともに、その方向性を実現する手だてを意味する。個別の「しかた」をくくってそれを「方法」という。何らかのことを行うしかた。目的を達するためのてだて。

◆「綴り方」「書き方」「話し方」のように具体的な「何々」の「し方」に対して、「方法」は「しかた」そのものである。日本語世界では、「しかた」は個別の芸として体得すべきことと考えられてきた。しかし、いっぽうで「くくる」という営為も言葉になってきた。これを結びつけ「方法」を言挙げしなければならない。

方法を方法として意識することは、人間の人間たるゆえんであり、労働における方法の意識こそ、言葉が成立し、協同労働が組織される端緒である。

一つの文明の成立には、その文明の基本的な方法がある。新石器革命以来の人間文明に共通する方法は、火と言葉である。文化とは、文明の方法を人間の主体的で意識的な側面からとらえたものに他ならない。西洋に端を発する現代文明の根本の方法は数学である。デカルトの『方法序説』の意義は、その内容そのものよりも、近代における「方法の意識化」そのものである。それぞれの言葉が近代を実現するために、「方法の意識化」が不可欠である。


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