◯「な(地)」[na]は大地を意味する。「の」はこの大地において,人が何かをなすところとである。
◆生きてゆく本拠としての「さと」に対し,それを囲んで広がる「の(野)」では、草を刈ったり、柴を得たり、野の道を行き交ったり、時には狩りをする所である。また「やま」はさらに遠くにあり、通常は人が立ち入らないところである。
▼里と山の間に広がる所。 ◇『万葉集』四七「ま草刈る荒野にはあれども黄葉(もみぢば)の過ぎにし君が形見とそ来し」 ◇『万葉集』八三七「春の努(ノ)に鳴くや鶯」 ◇『万葉集』一三三六「冬こもり春の大野を焼く人は焼き足らねかも我が心焼く」
▽動植物を表す名詞の上に付いて、そのものが野生であること、山野で自然に生長したものであることを表す。
◇「のうさぎ」、「のがも」、「のいちご」、「のばら」。