◯古形は「ほ」。ものが燃え赤く熱した炎。
※[i]は日(日)の[i]とは別語。しかしまた、一方が他方の根拠ととらえられる関係にあり、太陽(日)が地上の火の根拠と考えられていた。
▼ものが燃え、また燃やすもの。 ◇『古事記』中・歌謡「さねさし相模の小野に燃ゆる肥(ヒ)の火中(ほなか)に立ちて問ひし君はも」 ◇『万葉集』三七二四「君が行く道の長路(ながて)を繰りたたね焼きほろぼさむ天の火もがも」 ◇『枕草子』一「いと寒きに、火などいそぎおこして、炭もてわたるもいとつきづきし」 ◇『今昔物語』二九・一二「近き所に火の出来たりければ」
▽明かり。ともしび。のろし。 ◇『万葉集』三六六九「旅にあれど夜は火(ひ)ともし居るわれを」 ◇『平家物語』二「天下に兵革おこる時、所々に火をあげ」 ◇『伊勢物語』三九「この蛍のともす火にや(女の顔が)見ゆらむ」
▽比喩して、はげしく起こりたつ感情。おこりたかぶる気持。
◇全員火となって戦うぞ。
◇『万葉集』四〇一一「言ふすべのたどきを知らに、心には火さへ燃えつつ思ひ恋ひ」