◯「ま(真)[ma]」な「こと[koto]」。
◆「マ」は「真」である。「マコト」の第一義は「かんがえること」がそのまま現れることである。つまり、内心と実際の行為との間にうそや偽りがないことである。この意味で現代では漢字として「誠」を当てる。 「まこと」の「こと」はより大きく、もののことすべてを意味する。漢字では「真・言」でもあり「真・事」でもある。したがって、「マコト」はこの世や世界の真のあり方そのものであり,それを言葉に表し、また姿に現すことまでも意味する。
▼真実。本当。 ◇『万葉集』三三八四東歌 「葛飾の真間の手児奈を麻許登(マコト)かもわれに寄すとふ真間の手児奈を」
▼ここから内面が豊かにあってしかもそれが外にあふれ出ていることも表すようになる。誠実。 ◇『古今集』七一三「いつはりと思ふものから今さらにたが まことをか 我はたのまむ 」 ◇誠をつくす
▼表現の真実味。作者の純粋で純朴な真情。 ◇『古今集』仮名序「僧正遍昭は、歌のさまはえたれども、まことすくなし」(いろいろ表現はするが、いったい自分の中味は何があるのか、ということと、たとえあっても表現されていない、ということと両方の意味)
▼〔副〕間違いなくその状態であることを強調する感嘆詞。じつに。本当に。実際。
◇『万葉集』四三四八「母を別れて麻許等(マコト)われ旅のかりほに安く寝むかも」