◯二つで完全なもの(真)をなすとき、その一方を示す。かた(片)とかた(片)で真となる。
※蒙古語で「半分」を意味するkaltas、ツングース語のkaltaka、つまりアルタイ諸語のkalta(片)と同源(大野晋「日本語の起源」)。
◆ま(真)の対語。対のものの一方。いくつかそろって完全なものになると考えられるときの、それぞれのもの。接頭語として、名詞や動詞の上に付いて、片方の、かたよった、などの意を表わす。
▼名詞の上に付いて、一対になっているものの一方の意を表わす。 「半分」 ◇「片恋」「片手」「片われ」「片時」
▽名詞の上に付いて、不完全な、整っていない、少しの、などの意味を表わす。「一部分」
◇「片山」「片岡」「片時」
▽名詞の上に付いて、一方にかたよること、の意を示す。
◇「片田舎」「片淵」
▽主として動詞の上に付いて、しきりに、ひたすら、の意を表わす。
◇「片待つ」「片泣く」
※なぜ動詞につくと「ひたすら」の意味になるのか。「片泣く」は、人の状態として、笑ったり、怒ったりと色々あってはじめてその人の心の全体になるのに対して、そのように他の心持ちなることなくもっぱら泣く状態ばかりになるから「片」であり、そのようにひとつの状態ばかりになるので「ひたすら」なのである。