◯ひとつのものとしてかたまりをなし、くずれないこと。
※タミル語<kattu>に由来。
◆ものの或ることが、なかなか変わらないこと。
▼(堅・硬・固) もののかたちが明確で変化することがない、というものの性質を示す。
◇『源氏物語』行幸「かたきいはほも」 ◇「かたい約束」「かたく信じる」 ◇『日本書紀』雄略一二年一〇月・歌謡「大君に柯墟倶(カクタ)仕へ奉(まつ)らむと」 ◇「そんなかたい事を言わなくてもいいではないか」 ◇「かたく口止めされる」 ◇『枕草子』八七「さはれ、さまでなくとも、いひそめてんことはとて、かたうあらがひつ」 ◇『古事記』下・歌謡「秀(ほだり)取り加多久(カタク)取らせ」
▼心が確定していて動揺しない、融通がきかない、などに意味が展開した。 ◇「口がかたい」 ◇「かたい顔つき」 ◇「かたい文字」 ◇「彼の力をもってすれば、合格はかたい」 ◇「かたい商売」
▼(難) むずかしい。容易でない。困難だ。
◇『万葉集』三四〇一「中麻奈(なかまな)に浮き居る船の漕ぎ出なば逢ふこと可多思(カタシ)」
◇『古今集』四四三「ありとみてたのむぞかたき」
◇『源氏物語』帚木「御覧じ所あらむこそかたく侍らめ」