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未知なものを文字に置く

点が動いたり,角が変化したり,動くもの, 変化するものをとらえ,一定の条件を満たすものを求めようとすれば, 文字の導入が必要である. 変化量,未知量には変数を置く. これをしっかりと心得ておきたい.


例題 2.2       [06東大文科1番]

四角形$\mathrm{ABCD}$が,半径$\dfrac{65}{8}$の円に内接している. この四角形の周の長さが44で, 辺$\mathrm{BC}$と辺$\mathrm{CD}$の長さがいずれも13であるとき, 残りの2辺$\mathrm{AB}$$\mathrm{DA}$の長さを求めよ.


考え方     四角形が円に内接しているということは,それを分けた各三角形も円に内接している.正弦定理は外接円の半径と三角形の内角を用いて辺の長さを表す.二辺が既知の三角形で余弦定理と連立すれば,内角の正弦や余弦,残る辺の長さが決まる.それを,辺の長さが未知の方の三角形に用いればよい.

解答     $\angle \mathrm{BCD}=\theta$とする. また$\mathrm{AB}=x$とする.このとき $\mathrm{AD}=44-(13+13+x)=18-x$である.

$\bigtriangleup \mathrm{CBD}$の外接円の半径が$\dfrac{65}{8}$で あるから,正弦定理によって

\begin{displaymath}
\mathrm{BD}=2\cdot\dfrac{65}{8}\sin\theta
\quad \cdots\maru{1}
\end{displaymath}

である.

また $\bigtriangleup \mathrm{CBD}$に余弦定理を適用して,

\begin{displaymath}
\mathrm{BD}^2=13^2+13^2-2\cdot13^2\cos\theta
\quad \cdots\maru{2}
\end{displaymath}

$\maru{1},\ \maru{2}$から$\mathrm{BD}$を消去する.


\begin{displaymath}
\left(2\cdot\dfrac{65}{8}\sin\theta \right)^2
=13^2+13^2-2\cdot13^2\cos\theta
\end{displaymath}

ここで,$\cos\theta=t$とおく.

\begin{displaymath}
\dfrac{13^2\cdot5^2}{16}(1-t^2)=2\cdot13^2(1-t)
\end{displaymath}

ここで$0<\theta<\pi$なので $-1<\cos\theta<1$である. よって$1-t\ne 0$

\begin{displaymath}
∴\quad 25(1+t)=32
\end{displaymath}

これから $t=\dfrac{7}{25}$である.この結果

\begin{displaymath}
\mathrm{BD}^2=2\cdot13^2\left(1- \dfrac{7}{25}\right)
=\left(\dfrac{6\cdot 13}{5} \right)^2
\end{displaymath}

次に, $\bigtriangleup \mathrm{ABD}$において余弦定理を用いる. $\angle \mathrm{A}=\pi -\theta$であるから

\begin{displaymath}
\mathrm{BD}^2=x^2+(18-x)^2-2x(18-x)\cos(\pi-\theta)
\end{displaymath}

これから

\begin{displaymath}
\left(\dfrac{6\cdot 13}{5} \right)^2
=x^2+(18-x)^2+2x(18-x)\cdot\dfrac{7}{25}
\end{displaymath}

これを整理して

\begin{displaymath}
x^2-18x+56=(x-4)(x-14)=0
\end{displaymath}

\begin{displaymath}
∴\quad (\mathrm{AB},\ \mathrm{AD})=(4,\ 14),\ (14,\ 4)
\end{displaymath}    □

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