次: 複合命題と数学的帰納法
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応用型を簡単な例題で確認しておこう.
例題 1.10
[出典不明]
,
が整数のとき,任意の自然数 に対して
は整数であることを示せ.
考え方
これを数学的帰納法で示そうとして のときの成立を確認し,
での成立を仮定して のときの成立を示そうと計算すると
となる.仮定したのは のときなので,第二のかっこ内が整数である保証がない.
このようなときは[応用型1]になる.
つまり次のようにする.
解答
数学的帰納法で示す.
- のとき
で成立.
のとき
で成立.
- で成立するとする.
より のときも成立する.
- よってすべての自然数について題意が示された.
□
例題 1.11
[00横浜国立大学改題]
考え方
このようになかなか解けない数列の一般項を求めたいときは,
いくつかの について調べ,一般項を推測するところからはじめなければならない.
解答
となるので
と推測される.
これを数学的帰納法で示す.
- のとき, より成立.
-
で成立するとする. このとき
よって でも成立する.
- 以上から
に対し
が示された.
ゆえに一般項は
である.
□
だからといって
かも知れない.
しかしこれはやってみれば で成り立たないことがわかる.
推測はもっとも妥当らしい形を推測しなければならないが,
推測すべき形は一つではないことに注意しよう.
Aozora Gakuen