例題 1.19 [09京大理系乙]
平面上の鋭角三角形 の内部(辺や頂点は含まない)に点Pをとり, をB,C,Pを通る円の中心, をC,A,Pを通る円の中心, をA,B,Pを通る円の中心とする. このときA,B,C, が同一円周上にあるための 必要十分条件はPが の内心に一致することであることを示せ.
考え方
中心が同一直線上にない三円が同一の点を共有すれば, その点は一つしかない.あるいは,三角形の外心はただ一つしかない. この簡単なことを用いると,間接証明ができる.
証明
点と が題意のように定まっている 前提のもとで次の二条件の同値性を示す.
条件甲:A,B,C, が同一円周上にある.
条件乙:Pが の内心と一致する.
(1)甲ならば乙を示す.
よりは弧の中点. 円周角の相等より . つまり直線は角の二等分線である. 従って内心は上にある. 他についても同様なので,三直線 は 内心で交わる.
である.
ここで 角の二等分より . 円周角の相等によって . これから が結論される.
この結果 となり,内心はを中心とし を通る円周上にある.点も同じ円周上にある. についても同様に成り立つ.
三点 を中心とする三円上にとの両点がある. これら三円の中心が一直線上に来ることはない. よって三円が共有する点は一点しかない. つまり である.
(2)乙ならば甲を示す.
の二等分線と の外接円の交点を とする. 点は内心なので,(1)と同様にして, である.
つまりは三点 から等距離にある.点も等距離にある. 同一直線上にない三点から等距離にある点は一つなので である.つまり は の外接円上にある. 他も同様である. □