例題 1.1 [07阪大文理]
平面において,原点Oを通る半径 の円をとし,
その中心をAとする.
Oを除く上の点Pに対し,次の2つの条件(a), (b)で定まる点Qを考える.
解法1
(1)
をが円の直径となる点とし,
半直線上の点を
のとき
この結果
逆に,直線上の点があれば, 半直線と円は原点および他の点で交わり,条件を満たす点を定める. よって点の軌跡が直線である,
(2) 原点を中心とする半径1の円をとする.
より, なら である.つまり点が円の内部にあれば点は円の外部にある. 同様に点が円の外部にあれば点は円の内部にあり, 点が円の周上にあれば点は点と一致する.
したがって円が円の内部にあればとに共通点はない. 円が円に内接すればとは1点を共有する. 円が円と交われば,はこの交点を通り,したがってとは2点で交わる. つまりとが2点で交わることが求める条件である. その条件はであるから, に関する条件は である. □
解法2
記号は解法1のものを使う.
(1)
条件から正の数を用いて
円は線分を直径とする円なので,
点が円上にあることは
(2)
がと2点で交わる条件は,
円の中心ととの距離が半径より小さいことである.
(1)からととの距離は
であり,から
つまり となり,求めるの条件は である.□
解法3
(1)
,
とし,
を成分で書く.
円の中心をとする.原点を通るので,である.
円は円の方程式
を展開整理して代入する.条件から
なので
(2)
がと2点で交わる条件は,
円の中心ととの距離が半径より小さいことである.
解法4
(1)
図形を複素数平面で考え,
とおく.
条件から正の数を用いてとおけ,さらに条件から
(2) はベクトルの場合と同様なので省略する. □
点Qは,点Pの,原点を中心とする半径1の円に関する反転 または鏡像である,という. 反転を扱うには,図形的方法とベクトルや座標, あるいは複素数平面による方法がある. 解法1は,若干異なるが,ベクトルを用いた解法2と座標による解法3は, 本質的には同じことで,表現が異なるだけである.
ベクトルでは までしかできないが,複素数では まで簡明になるので,逆に解いて代入することが可能になる.このように反転を座標平面で扱うときは,複素数平面として考えるのが一番簡明である.