任意の正数に対して
,とするとき,
平面上の2点
,
の距離
そして,平面上の点列の収束のところで示したように, 点列の収束は,各成分の収束と同値であるから, 複素数列の収束も,実成分,虚成分から作られる実数列 がそれぞれ収束することと同値である. よって,複素数列の収束に関する諸性質が, 実数列の収束に関する定理から導かれる.
の部分集合が閉集合であることの定義は, 距離空間のそれと同じである. 閉集合,領域など,平面上で定義された平面の部分集合に関する概念は, そのまま複素平面の部分集合において用いることができる.
複素関数の値の実部,虚部はそれぞれの関数であり,
変数自体がとするときとの関数であるので,
複素関数はその実部,虚部もとの関数であり,
複素関数がで連続であるとは,任意の正数に対して,
正数で,
したがって,がで連続であることは次の条件とも同値である.
に収束する任意の点列に対して
これと複素数列の性質をあわせれば, 複素関数 がで連続であることと, 2つの関数とはそれぞれ2変数の関数として, で連続であることと同値である.
以上のように,複素関数の連続性は,実2次元距離空間から実2次元距離空間への写像の連続性そのものである.