慶応理工V解説 問題 解答 2000年入試に戻る
この問題は,ほとんどの受験生が計算で処理しようとしたと思われる.
(1) はもちろん (2) も2次関数の問題にして計算で示せる. そのなかで簡明なものを別解として紹介する.
g(x) は係数が一般的に与えられている.つまり「実数係数の2次式」という以上のことは何もない.こういうときは,2次関数であることに依拠しない論証を探そう.
本解のように g(x) は2次式である必要はなく,実数係数の任意の整式で成立する.
(1)の証明で,対称式が基本対称式で表されることを用いている.参考までに,対称式が基本対称式で表されることを示す最も手短な証明を,紹介しよう.
f(x,y) を x と y の対称式とする.基本対称式 x+y と xy の整式となることを次数
n に関する帰納法で示す.ここに f(x,y) の「次数」とは,各単項式での x
の次数と y の次数の和のなかで最大にものを式 f(x,y) の次数という.
n=0のとき明らか.
n=1のとき f(x,y)=ax+ay+b=a(x+y)+b より成立.
n ≧2とし,0 〜n-1で成立しているとする.
F(x,y)=f(x,y)-f(x+y,0)
とおく.
F(x,y) も x , y の対称式である.
F(x,0)=f(x,0)-f(x,0)=0
F(0,y)=f(0,y)-f(y,0)=f(y,0)-f(y,0)=0
であるから,因数定理によりF(x,y)は xy を因数にもつ.
F(x,y)=xyG(x,y) とする.G(x,y) も対称式でn-2次以下の式である.
よって,G(x,y) は x+y , xy の整式である.
よって,F(x,y) も
x+y , xy の整式である.
f(x,y)=F(x,y)+f(x+y,0) であるから,
x+y , xy の整式である.
帰納法により題意が示された.